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東大の理系に興味があります。でも調べていて混乱したんですが、東大って「工学部を受験する」みたいな言い方をしないですよね? 願書に何を書くのか、そもそもよく分かっていなくて。

私は理系なんですが、正直まだ何を専門にしたいか決めきれていなくて。東大は入学してから学部を選べると聞いたんですけど、その「選び方」のしくみがよく分からないんです。

2人とも大事なところを突いています。順番に整理しますね。まず東京大学には「学部別の入試」がありません。受験するのは学部ではなく、理科一類・理科二類・理科三類という「科類(かるい)」です。入学後は全員がまず教養学部で2年間学び、2年生の夏の「進学選択(進振り)」で、成績と志望をもとに学部・学科が決まります。みおさんのように「入ってから決めたい」人にこそ向いたしくみなんですよ。公式の入学者選抜要項と河合塾Kei-Netのデータをもとに、進路面談と同じ目線で見ていきましょう。
東京大学 理系のポイント
- 学部別入試がない。受験するのは理科一類・理科二類・理科三類の3つの科類で、2年後の進学選択(進振り)で学部が決まる
- 偏差値(河合塾)は理科一類・理科二類67.5/理科三類72.5。理科三類(理三)が全国最高水準
- 配点は共通テスト110点(1000点満点を換算)+二次試験440点=550点満点。二次の比重が大きい
- ただし第1段階選抜(足切り)があるので、共通テストを捨てることはできない
- 理系でも二次試験に国語がある(80点)
- 後期日程はない(一般選抜は前期日程のみ)
こんな人に向いています
- 入学の時点で学部を決めきれず、2年間学んでから専攻を選びたい人
- 共通テストより二次試験(記述)で勝負したい人
- 医学部医学科(理科三類)を含め、国内最難関に挑戦したい人
この記事で分かること
- 科類制と進学選択(進振り)のしくみ=東大の「学部の決まり方」
- 理科一類・二類・三類の違いと、それぞれが主に進む学部
- 偏差値・第1段階選抜(足切り)の倍率・合格最低点
- 二次試験の配点/理科三類だけの面接/学校推薦型選抜/学費/卒業後の進路/2027年度の変更点
※入試制度や数値は変わります。出願前には東京大学公式の最新の募集要項を必ずご確認ください。
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はじめに|東京大学の理系を3分で把握
東大の理系を理解するコツは、「科類 → 進学選択(進振り)→ 学部」という順序で考えることです。「工学部に行きたい」ではなく、「工学部に進みやすいのはどの科類か」と考える——この順序が分かると、記事全体がぐっと読みやすくなります(第2章・第3章)。
入試にも特徴があります。合否は二次試験の比重が大きい(550点のうち440点)一方で、第1段階選抜(いわゆる足切り)があるので共通テストも捨てられません(第5章)。そして理科三類だけは面接もある、医学部医学科へ進む特別な科類です(第6章)。それでは、一つずつ見ていきましょう。
東京大学とは|学部別入試がない「科類制」と進学選択
東京大学の基本
まず大学そのものを押さえておきましょう。志望理由書にも役立ちます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | 国立大学法人 東京大学 |
| 創立 | 1877年(明治10年) |
| 設置 | 国立・共学 |
| 学部 | 10学部(法学部・医学部・工学部・文学部・理学部・農学部・経済学部・教養学部・教育学部・薬学部) |
| 規模 | 学部学生 約14,100人(2026年5月1日現在) |
| 主なキャンパス | 駒場Ⅰ(前期課程=1〜2年)・本郷(後期課程=3〜4年の多く)・柏(大学院中心) |
| 研究力 | THE世界大学ランキング2026で世界26位・日本国内1位。東京大学に関係するノーベル賞受賞者は13人 |
日本の大学で研究力が国際的に最も高く評価されている大学のひとつ、というのが客観的な位置づけです。ノーベル賞については、大学が「東京大学に関係する受賞者13人」と公表しています。
最大の特徴|東大に「学部別入試」はない
ここが東大を理解する出発点です。東京大学は、学部ごとに入試を行っていません。
募集は文科一類〜三類・理科一類〜三類の6つの科類で行われ、理系は理科一類・理科二類・理科三類の3つです。合格した人は全員、まず教養学部に所属して「前期課程」を2年間学びます。1年半ほどは科類を問わず共通の教養教育(リベラル・アーツ)が中心です。
つまり、入学した時点では、まだ学部が決まっていません。
進学選択(進振り)で学部が決まる
では学部はいつ決まるのか。それが進学選択(進振り/しんふり)です。
流れはシンプルです。
- 理科一類・二類・三類のいずれかで入学する
- 1〜2年生は駒場キャンパスで前期課程を学ぶ
- 2年生の夏に進学選択——それまでの成績(基本平均点)と志望をもとに、進学先の学部・学科が内定する
- 3年生から後期課程へ進み、多くは本郷キャンパスで専門を学ぶ
決め手になる基本平均点は、1〜2年生で履修した科目の成績を、単位数や重率(科目ごとの重みづけ)で加重して出す平均点です。ざっくり言えば「1〜2年生の成績」で決まります。

進学選択は3つの段階で進む
進学選択は段階に分かれています。
- 第一段階:志望する学部・学科を1つだけ登録し、学部側が原則として成績が良い順に受け入れます
- 第二段階:第一段階で内定しなかった人が対象。複数の志望を登録でき、面接など点数以外の評価を使う学科もあります
- 第三段階:それでも内定しなかった人が使いますが、残っている枠はごくわずかです
各段階で何人を受け入れるかは、学部・学科ごとに「進学定数」として毎年定められます。
指定科類枠と全科類枠
進学定数には2種類の枠があります。
- 指定科類枠:「この科類から何人受け入れる」と定められた枠。学部・学科ごとに設定されています
- 全科類枠:指定科類以外のどの科類からも進学できる枠。多くの学科に設けられていますが、枠の有無や人数は進学先によって異なります
この全科類枠があるため、理系の科類から文系の学部へ進むことも可能です。逆に、文系から理系学部へ進む枠がある学科もあります。
受験生にとっての意味
科類制のメリットとデメリットを、正直に整理します。
良い点
- 入学時に学部を決めきらなくてよい。2年間学んでから、興味の変化を反映して選べる
- 幅広い分野に触れたうえで専攻を決められる
注意したい点
- 入学した時点では、行きたい学部に進めると決まったわけではない。人気の学科は希望者が枠を上回り、成績順になる
- つまり、入学後も成績が重要

ここは面談でも必ず確認するところです。「東大に受かれば安心」ではなく、入ってからの2年間の成績で進路が決まる——この構造を知ったうえで志望すると、入学後のギャップが小さくなります。
※補足:東大には進学選択のあとの「後期課程」(3・4年生の専門課程)があります。これは入試の「後期日程」とはまったく別のものです。東京大学の一般選抜に後期日程はありません(第5章)。
理科一類・二類・三類の違い|進学先の傾向と科類の選び方
3つの科類が主に進む学部(公式の大枠)
東京大学は「科類と後期課程で進む学部の大枠」を公式に示しています。そのまま引用します。
| 科類 | 主に進む学部(公式) |
|---|---|
| 理科一類 | 工学部・理学部・薬学部・農学部・医学部(健康総合科学)・教養学部 |
| 理科二類 | 農学部・薬学部・理学部・工学部・医学部(健康総合科学、医学科)・教養学部 |
| 理科三類 | 医学部(医学科) |
※公式の注記に「『全科類枠』も設けられている」とあります。上の表は「進学枠が多い傾向」であって、ここに書かれた学部にしか行けない、という意味ではありません。
科類の選び方
では、自分はどの科類を選べばよいのか。考え方は、シンプルに2つです。
- やりたい学問から逆算する——工学・理学系なら理科一類、農学・薬学・生命系なら理科二類、医学科なら理科三類、が出発点です
- 枠の大きさを見る——志望する学部・学科の指定科類枠が、どの科類に多く割り当てられているかを確認します
迷ったら、進学の枠が広い理科一類・理科二類のどちらかから考えるのが現実的です。理科三類は医学科をめざす人のための科類で、難易度も別格です(第6章)。
ここが見落とされがちなポイント
上の表を、もう少し踏み込んで読んでみましょう。ここは他ではあまり触れられていない部分です。
理科一類の行に「医学科」は入っていません。 理科一類の医学部は「健康総合科学」だけです。つまり理科一類には医学科への指定科類枠がありません。医学科を志望する場合は、科類を問わない全科類枠を利用することになります。
一方、理科二類の行には「医学科」が入っています。 理科二類には医学科への指定科類枠があり、理科二類から医学科へ進むのは公式に想定されたルートです。
いずれも枠は少なく、希望者が枠を上回る場合は成績順になりますから、高い基本平均点が求められます。それでも「理三でなければ医学科は絶対に無理」ではない、というのは知っておく価値があります(第6章)。
もうひとつ。理系の科類から文系学部にも枠があります。公式も「理科各類から経済学部や文学部に進学することも可能です」と明記しています。理系で入って経済や法を学ぶ、という進路も現実にあり得ます。

理科一類からは医学科の枠がないんですね。逆に理科二類にはある、というのは知りませんでした。
2027年度の募集人員
2027年度(令和9年度)の一般選抜・前期日程の募集人員です。
| 科類 | 2027年度 前期日程 募集人員 |
|---|---|
| 理科一類 | 1,071人 |
| 理科二類 | 514人 |
| 理科三類 | 92人 |
| 文科一類〜三類を含む6科類合計 | 2,858人 |
※この数字は、2026年7月公表の入学者選抜要項の時点のものです(正式な募集要項は2026年11月中旬公表予定)。
※出典:東京大学(令和9(2027)年度 入学者選抜要項・取得日2026-07-17)。
2027年度は募集人員が少なくなります
2027年度は、理科一類・理科二類、そして6科類合計の募集人員が、いずれも現行より少なくなります(6科類合計 2,960人→2,858人)。理科三類は、認可の状況によって数字が動くことがあるため、前年との単純な比較はしません。
同じ2027年9月には、100人を募集する新しい教育課程「UTokyo College of Design」が開設される予定です(第11章)。
ただし東京大学は、募集人員を減らす理由を公式には説明していません。 この記事では、公表されている数字をそのままお伝えします。
※理科三類の92人は、認可の状況などで変更されることがあります。2026年11月公表予定の正式な募集要項で最終確認してください。
偏差値・倍率・合格最低点|3科類の難易度比較
偏差値(河合塾)
| 科類 | 偏差値 |
|---|---|
| 理科一類 | 67.5 |
| 理科二類 | 67.5 |
| 理科三類 | 72.5 |
※出典:河合塾Kei-Net(東京大学 入試難易予想ランキング・取得日2026-07-17)。
理科一類と理科二類は同じ67.5、そのうえに理科三類72.5という構造です。理科三類は全国の大学・学部を通じて最高水準にあります。

第1段階選抜(足切り)の予告倍率
東大では、志願者が多いと共通テストの成績で第1段階選抜が行われます。2027年度の予告倍率は次のとおりです。
| 科類 | 予告倍率 |
|---|---|
| 理科一類 | 約2.3倍 |
| 理科二類 | 約3.0倍 |
| 理科三類 | 約2.8倍 |
(参考:文科各類は約2.5倍)
合格最低点は「3年分」で見る(550点満点)
「東大の合格ラインは何点くらい?」——気になるところです。東大は合格者の得点を公表しているので、過去3年分の最低点を並べてみましょう。1年だけだとブレるので、3年分のレンジ(幅)で見るのが安全です。
| 科類 | 2023年度 | 2024年度 | 2025年度 |
|---|---|---|---|
| 理科一類 | 314.98 | 326.24 | 321.00 |
| 理科二類 | 312.98 | 314.14 | 313.15 |
| 理科三類 | 357.67 | 380.48 | 368.67 |
(いずれも合格者の最低点/550点満点)
3年分のレンジで見ると、合格ラインの目安はおおむね次のとおりです。
- 理科一類:約315〜326点(550点満点の約57〜59%)
- 理科二類:約313〜314点(約57%)
- 理科三類:約358〜380点(約65〜69%)
理科三類だけが、他の2科類より50点ほど高い水準にあります。
※点数は、共通テスト110点+二次試験440点の合計=550点満点での数字です(二次試験の素点440点満点とは別物)。
※最低点は「その年に実際に合格した人のうち最も低かった点」で、問題の難しさによって年ごとに動きます。2027年度の目標点を直接示す数字ではありませんので、余裕をもった得点を目指してください。
第1段階選抜(足切り)のボーダーは、こちらは共通テストの点数そのもの(1000点満点)なので、上の550点満点とは別の数字です。
| 科類 | 第1段階選抜 最低点(2025年度・1000点満点) |
|---|---|
| 理科一類 | 808 |
| 理科二類 | 814 |
| 理科三類 | 770 |
※出典:東京大学(令和8(2026)年度 入学者募集要項 別紙4「過去3年間の合格者最高点・最低点・平均点」・取得日2026-07-17)。
「共通テストの得点率」を載せていない理由
他のサイトでは、理科三類の合格者の共通テスト得点率が数字で載っていることがあります。しかし、東京大学は科類別の合格者の共通テスト得点率を公表していません(予備校などの推定値です)。
なお、共通テストは最終合否では110点に換算されるため、二次試験より比重は小さくなります。ただし、第1段階選抜(足切り)では1000点満点の成績がそのまま使われるので、軽視はできません(第5章)。
そこでこの記事では、予備校の推定得点率ではなく、公式の第1段階選抜最低点と最終合格最低点を扱っています。
一般選抜のしくみ|共通テスト110点+二次440点
配点の全体像
東大の一般選抜(前期日程)の配点は、次のようになっています。
| 区分 | 配点 |
|---|---|
| 大学入学共通テスト | 110点(1000点満点を110点に換算) |
| 第2次学力試験(二次) | 440点 |
| 合計 | 550点満点 |

ここで大事なのは、次の3点を順番に理解することです。
- 二次試験の比重が大きい——550点のうち440点、つまり8割が二次試験です
- ただし第1段階選抜(足切り)がある——共通テストの成績が低いと、二次試験を受ける前に不合格になります
- したがって「共通テストを捨ててよい」わけではない——足切りを安定して超えられる得点は必要です

二次で勝負、でも共通テストを軽視はできない、ということですね。
二次試験の科目と配点
理科各類に共通の配点です。
| 二次試験の科目 | 配点 |
|---|---|
| 国語 | 80点 |
| 数学 | 120点 |
| 理科(2科目) | 120点 |
| 外国語 | 120点 |
| 合計 | 440点 |
東大の理系は、二次試験に国語があります。 これは理系の入試としては珍しい設計で、東大対策の特徴のひとつです。配点は80点と大きくはありませんが、対策を外せません。
共通テストの科目
理科各類は『情報Ⅰ』を含む6教科8科目・配点合計1000点です。
| 教科 | 配点 |
|---|---|
| 国語 | 200点 |
| 地理歴史・公民(5科目から1科目) | 100点 |
| 数学 | 200点 |
| 理科(物理・化学・生物・地学から2科目) | 200点 |
| 外国語 | 200点 |
| 情報(『情報Ⅰ』) | 100点 |
| 合計 | 1000点 |
理系でも地理歴史・公民が必要な点に注意してください。この1000点が110点に換算されます。
第1段階選抜(足切り)のしくみ
東大では、志願者が募集人員に対して一定の倍率を超えると、共通テストの成績だけで先に絞り込みが行われます。これが第1段階選抜、いわゆる足切りです。
ここを通らないと、2月の二次試験を受けることができません。二次で勝負する前に、まず土俵に上がる必要があるということです。
科類ごとの予告倍率(理科一類 約2.3倍・理科二類 約3.0倍・理科三類 約2.8倍)は、第4章にまとめています。
日程
- 第2次学力試験:2027年2月25日(木)・26日(金)
- 理科三類のみ:2月27日(土)に個人面接(第6章)
東京大学に後期日程はありません
意外と知られていませんが、東京大学の一般選抜は前期日程のみです。後期日程はありません。
かつては後期日程がありましたが、平成28(2016)年度の入学者選抜から、学校推薦型選抜(当時の推薦入試)の導入と入れ替わる形で廃止されました。
現在、東大の学部入試は「一般選抜(前期日程)」「学校推薦型選抜」(第7章)などで構成されています。
理科三類と医学部医学科|面接と進学定数
理科三類は、東大の中でも別格の科類です。ここだけは章を分けて、理三ならではの部分に絞って見ていきます(偏差値・倍率・合格最低点は第4章をご覧ください)。
医学部医学科をめざす2つの入口
まず、選抜方式を分けて整理します。
| 選抜方式 | 募集人員 |
|---|---|
| 一般選抜・理科三類 | 92人 |
| 学校推薦型選抜・医学部医学科 | 3人程度 |
この2つは別々の入試で、出願のしかたも日程も違います(学校推薦型選抜は第7章)。
理科三類だけにある個人面接
理科三類の受験生だけ、2月27日に個人面接があります。
面接は、学力試験・調査書に加えて総合的に判定する資料として使われます。ここで重要なのが、選抜要項にあるこの一文です。
「学力試験の得点にかかわらず不合格となることがある」
つまり、点数が足りていても、面接の結果で不合格になり得るということです。面接の点数が440点に加算されるわけではありませんが、合否を左右します。医師を養成する学科として、適性を見るしくみです。

点数だけでは決まらない、ということですね。医学を学ぶ動機や姿勢を、自分の言葉で話せるようにしておく必要がありそうです。
「募集人員92人」と「進学枠110人」は別の数字
ここは混乱しやすいところなので、丁寧に説明します。
「理三の募集人員は92人なのに、医学科の進学枠は110人」と聞くと、数字が合わないように見えます。しかし、この2つは数えている場面が違います。
| いつの数字か | 数字 | 何を表すか |
|---|---|---|
| 入試のとき | 92人 | 2027年度の一般選抜で、理科三類を募集する人数 |
| 進学選択のとき | 110人 | 前期課程を終えた学生を、医学科が受け入れる際の枠(理科三類100人・理科二類8人・全科類2人) |
92人は高校生が受験するときの数字、110人は東大に入学したあと医学科へ進むときの数字です。しかも、受験する年と、進学選択をする年は2年ずれます。92人と110人を引き算しても意味はありません。
※110人の内訳は、東京大学 医学部の高校生向け案内で示されている現行の説明です(何年度のものかは公表されていません)。
理科二類・全科類枠から医学科へ
上の表のとおり、医学科の進学枠はそのほとんどが理科三類に割り当てられています。理科二類や全科類枠からも医学科へ進めますが、進学枠はごくわずかです。
希望者が枠を上回る場合は成績順となり、高い基本平均点が求められます。医学科をめざすなら、理科三類を第一に考えるのが現実的です。
医学科の特徴と医師国家試験
東大医学部医学科は、研究医(研究者)の養成を大きな目標に掲げています。臨床医だけでなく、医学研究を担う人材を育てる方針です。
医師国家試験の実績は次のとおりです。
| 区分 | 東京大学(第119回) | 全国 |
|---|---|---|
| 新卒 | 97.2% | 95.0% |
| 総数 | 93.3% | 92.3% |
※出典:厚生労働省(第119回医師国家試験の学校別合格者状況・取得日2026-07-17)。
学校推薦型選抜|学部を指定して出願する選抜方式
一般選抜との最大の違い
学校推薦型選抜は、一般選抜とは考え方が違います。
- 学部を指定して出願します(科類ではありません)
- 個別学力検査(二次試験)は免除されます
- 共通テストは概ね8割以上が目安とされています
- 提出書類・面接等・共通テストの成績で総合評価されます
ここで誤解しやすい点をひとつ。出願先は学部ですが、入学後すぐに後期課程の学部へ入るわけではありません。 一般選抜の学生と同じように、指定された科類で前期課程(1〜2年)を学び、3年生から出願した学部へ進みます。
2027年度の募集人員(理系)
| 学部 | 募集人員 |
|---|---|
| 工学部 | 30人程度 |
| 理学部 | 10人程度 |
| 農学部 | 10人程度 |
| 薬学部 | 5人程度 |
| 医学部 医学科 | 3人程度 |
| 医学部 健康総合科学科 | 2人程度 |
文系を含めた全学部の合計で、約100人程度です。一般選抜の2,858人と比べると、ごく少数の枠です。
実際の志願者数・合格者数
東大は実績も公表しています。
| 区分(令和8年度) | 人数 |
|---|---|
| 志願者数 | 265人 |
| 第1次選考合格者数 | 166人 |
| 最終合格者数 | 93人 |
理系学部の志願者数は、工学部86人・理学部41人・農学部30人・薬学部4人・医学部医学科8人・医学部健康総合科学科3人でした。
各高校からの推薦人数
1つの高校から推薦できるのは合計4人まで(男女各3人まで)です。同一学部・学科への推薦は男女各1人までで、同じ人が複数の学部に推薦されることはできません。

枠が小さいので、推薦に絞り切らず、一般選抜にも対応できる学力を準備しておくのが安全です。共通テストで8割以上を取れる力は、どのみち必要になります。
学費と経済支援|授業料改定と免除制度
授業料は2025年4月入学者から改定されました

国立だから安い、と思っていました。ここは正確に知っておきたいです。
| 区分 | 金額 |
|---|---|
| 授業料(年額・2025年4月入学者以降) | 642,960円 |
| (参考)改定前の授業料(2024年度以前の入学者) | 535,800円 |
| 入学料 | 282,000円 |
東京大学は授業料を、国立大学の標準額535,800円から642,960円に引き上げました。2025年4月入学者から適用されており、2027年度に入学する人も642,960円になります。
卒業までの総額
| 課程 | 卒業までの総額(入学料+授業料) |
|---|---|
| 4年制(工学部・理学部・農学部など) | 約285万円 |
| 6年制(医学部医学科・薬学部6年制) | 約414万円 |
私立大学の医学部と比べると、医学科6年でも約414万円というのは国公立ならではの水準です。一方で、東大の授業料は国立の標準額よりは高い——この2つは両方とも事実なので、正直にお伝えしておきます。
※出典:東京大学(入学料・授業料/授業料免除・取得日2026-07-17)。

東京大学独自の授業料免除
東大には、大学独自の授業料免除制度があります。
世帯の総所得358万円以下(給与収入だけなら600万円以下)が、全額免除の一つの目安です。ただし、ここが大事なのですが、収入だけで決まるわけではありません。
公式にも「学力基準および家計基準による審査のうえ、全額免除が許可されることがあります」(予算の範囲内で許可)と書かれています。家計の審査では世帯人数や家族構成もあわせて見るため、同じ年収でも結果は変わります。
一部免除として「4分の1免除」もあり、こちらは給与収入900万円以下などに加えて、1都3県以外に居住していることといった要件があります。
国の高等教育の修学支援新制度
上の東大独自の制度とは別に、国の「高等教育の修学支援新制度」もあります。授業料等減免と給付型奨学金を柱とする制度で、多子世帯への支援も拡充されています。

収入だけで諦めず、まず調べてみることが大事なんですね。

そのとおりです。東大独自の制度と国の制度は別ものなので、両方を確認してください。要件は毎年見直されるので、必ず最新の公式情報でご確認を。
卒業後の進路|理系学部は大学院進学が主流
理系学部は「大学院に進むのが標準」
東大の理系学部では、学部を卒業してそのまま就職する人のほうが少数派です。
| 学部 | 大学院進学率(令和5年度卒業者) |
|---|---|
| 理学部 | 約80.1% |
| 工学部 | 約76.4% |
| 農学部 | 約71.4% |
| 薬学部(4年制・研究者養成) | 約89.5% |
| (参考)学部全体の平均 | 約50.2% |
学部全体の平均が約50%であるのに対し、理系学部は7〜9割が大学院へ進みます。研究を深めてから社会に出る、というのが標準的なルートです。
医学部医学科は別のルートで、約86.6%が臨床研修医になります。
※出典:東京大学(学部卒業者の卒業後の状況・令和5年度・取得日2026-07-17)。
就職先の傾向
学部を卒業してすぐ就職する人は少数ですが、その主な業種は、製造業、情報通信業、金融・保険業、学術研究や専門・技術サービス業、公務などです。
なお、ネット上でよく見る「就職先企業ランキング」は、大学が公表しているものではありません(学生新聞などの集計です)。この記事では、大学が公表している業種別のデータにもとづいてお伝えしています。
科類別のデータについて
「理科一類の何%が大学院に進むのか」——気になるところだと思います。
しかし、科類別(理科一類/理科二類/理科三類別)の公式データは公表されていません。東大の進路統計は学部別でのみ集計・公表されています。そのため本記事では、学部別の公式進路データを掲載しています。
キャンパスとオープンキャンパス|駒場・本郷・柏
理系学生の動線=1〜2年は駒場、3年から本郷
東大は複数のキャンパスがありますが、理系の学生がたどる道はシンプルです。
| キャンパス | 所在地・アクセス | 役割 |
|---|---|---|
| 駒場Ⅰ | 目黒区駒場/京王井の頭線「駒場東大前」駅 徒歩0分 | 教養学部の前期課程=理系全員が1〜2年を過ごす |
| 本郷 | 文京区本郷/地下鉄南北線「東大前」駅 徒歩1分(丸ノ内線・大江戸線「本郷三丁目」駅からも) | 後期課程=3年から多くの学部 が集まる中心キャンパス。赤門・安田講堂がある |
| 柏 | 千葉県柏市/つくばエクスプレス「柏の葉キャンパス」駅からバス等 | 新領域創成科学研究科など大学院が中心 |
理科一類・二類・三類のどれで入学しても、1〜2年は駒場です。そして進学選択を経て、3年から本郷へ移るのが基本的な流れになります(第2章)。
柏キャンパスは大学院が中心なので、学部生の通学動線には通常入りません。
オープンキャンパス
東大のオープンキャンパスは例年夏に開催されています。科類制や進学選択は、資料を読むだけでは実感しにくい部分です。在学生との相談企画があれば、進振りの実情を聞く機会として活用できます。
日程・形式は年度によって変わりますので、東京大学公式サイトで最新の情報をご確認ください。
2027年度の変更点|一般選抜の募集人員とCollege of Design
UTokyo College of Design が2027年9月に開設予定
2027年に、東大に新しい教育課程が生まれます。
UTokyo College of Design(カレッジ・オブ・デザイン)です。学士課程4年と修士課程2年を一体的に設計した教育プログラムで、東京大学は「学士・修士一貫5年制の教育課程」と案内しています。ただし、5年で修了するには、成績優秀者として修士課程の早期修了制度を利用する必要があります。授業はすべて英語で行われます。
一般選抜とは別のルートです
理科一類・二類・三類を受験する人にとって、押さえるべきは次の点です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 開設時期 | 2027年9月(4月入学ではありません) |
| 募集人員 | 100名(Route A=共通テスト利用50名/Route B=SATやIBなど海外の大学入学資格を使う枠50名)※予定 |
| 進学選択(進振り) | 対象外(1年次から5年次まで独自のカリキュラム) |
| 併願 | 東大の一般選抜(前期日程)・学校推薦型選抜・外国学校卒業学生特別選考とは併願できません(他大学との併願はCoD側の制限なし・併願先大学の規定は要確認) |
つまり、一般選抜(理科一類・二類・三類)とはまったく別のルートです。理系学部が新設されるわけでもありません。
言い換えると、College of Design と、東大の「前期日程」や「学校推薦型選抜」などを両方受けることはできません。 ただし他大学との併願は、College of Design 側では制限していません(相手の大学にルールがある場合は、そちらでご確認ください)。
募集人員との関係
2027年度は、一般選抜の募集人員が6科類合計2,858人に減ります(第3章)。同じ2027年9月に、100人を募集するCollege of Designが開設される予定です。
ただし東京大学は、募集人員を減らす理由を公式には説明していません。
重要な注意点
College of Design は、文部科学省に設置認可を申請中です。 大学自身が「今後変更が生じる可能性があります」と明記しています。開設時期・定員・入試方式は変わる可能性があるため、UTokyo College of Design 公式サイトで最新の情報を必ずご確認ください。
まとめ+よくあるご質問(Q&A)
東大との併願校を検討する方へ
東大を第一志望にする場合も、併願校の検討は欠かせません。同じ国公立の最難関と比べるなら東京科学大学(旧・東工大)理系徹底解説、首都圏の国立を広く見るなら横浜国立大学 理系徹底解説が参考になります。志望校選びの全体像は東京・神奈川の理系 志望校選び完全ガイドにまとめています。
この大学の理系が向く人
最後に、東京大学の理系が向く人を、正直にまとめます(相性の問題なので、当てはまらなくても優劣ではありません)。
- 入学時に学部を決めきらず、2年間学んでから専攻を選びたい人
- 共通テストより、二次試験の記述で勝負したい人
- 理系でも国語を含めた総合力で戦える人
- 大学院に進んで研究を深めたい人(理系学部は7〜9割が院進)
- 入学後も成績を維持する意欲がある人(進学選択があるため)
- 医学部医学科(理科三類)をめざす人
一方、入学時点で学部を確定させたい人や、学部卒での就職を最優先したい人は、学部別入試の大学も含めて比べてみるとよいでしょう。
よくあるご質問(Q&A)
Q1. 東京大学は、何学部を受験するのですか?
A. 学部は受験しません。東大に学部別の入試はなく、理科一類・理科二類・理科三類という「科類」で受験します。入学後は全員がまず教養学部で2年間学び、2年生の夏の進学選択(進振り)で学部・学科が決まります(第2章)。
Q2. 理科一類・二類・三類は何が違いますか?
A. 主に進む学部が違います。公式には、理科一類=工学部・理学部など、理科二類=農学部・薬学部・理学部など、理科三類=医学部(医学科)と示されています。ただしこれは「進学枠が多い傾向」で、全科類枠を使えば他の学部にも進めます(第3章)。
Q3. 理科一類・理科二類から医学部医学科へ進めますか?
A. 理科二類には医学科の指定科類枠があります。 理科一類からも全科類枠を利用して進学できますが、枠はきわめて少数です。いずれも希望者が枠を上回れば成績順になるため、高い基本平均点が求められます(第3章・第6章)。
Q4. 進学選択で、希望する学部に行けないことはありますか?
A. あります。各学部・学科の受け入れ人数は「進学定数」として決まっており、希望者が枠を上回る場合は成績順です。入学後の1〜2年の成績(基本平均点)が進路を左右します(第2章)。
Q5. 共通テストは合否にどれくらい影響しますか?
A. 共通テスト(1000点満点)は110点に換算され、二次試験440点と合わせた550点満点で合否が決まります。二次試験の比重が大きい設計です。ただし第1段階選抜(足切り)があるので、共通テストを捨てることはできません(第5章)。
Q6. 東大の理系でも、二次試験に国語は必要ですか?
A. 必要です。理科各類の二次試験は、国語80点・数学120点・理科2科目120点・外国語120点の合計440点です。理系入試としては珍しく、国語が課されます(第5章)。
Q7. 東京大学に後期日程はありますか?
A. ありません。東大の一般選抜は前期日程のみです。後期日程は平成28(2016)年度の入学者選抜から、学校推薦型選抜の導入と入れ替わる形で廃止されました(第5章)。
※東大の「後期課程」は3・4年生の専門課程のことで、入試の「後期日程」とはまったく別物です。混同にご注意ください。
Q8. 学費はいくらですか?授業料は値上げされたのですか?
A. 授業料は年額642,960円です。2025年4月入学者から、535,800円より引き上げられました(2027年度入学者も同額)。入学料は282,000円で、卒業までの総額は4年制で約285万円、医学科・薬学部6年制で約414万円です。東大独自の授業料免除と国の修学支援新制度があり、世帯の総所得358万円以下(給与収入だけの場合は600万円以下)が全額免除の一つの目安です。ただし学力・家計基準などによる審査があり、収入だけで決まるわけではありません(第8章)。
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※本記事のデータ基準(2026年7月時点・取得日2026-07-17):偏差値=河合塾Kei-Netの入試難易予想/入試方式・配点・募集人員=令和9(2027)年度 東京大学入学者選抜要項など現行の公式資料(正式な学生募集要項は2026年11月中旬公表予定)。そのほか各表・数値の出典は、それぞれの表の下または本文中に記載しています。制度・数値は年度で変わるため、出願前に公式の最新情報をご確認ください。





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