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東京理科大って「入ってからが本番」「進級が大変」ってよく聞きます。留年する人が多いって本当ですか…?ちょっと不安で。

僕は入試の方式が気になるな。A方式・B方式・S方式ってあって、どれで受けるのがいいんだろう。学部でキャンパスも違うみたいだし。

ふたりとも、いい着眼点です。東京理科大は「実力主義」で知られ、進級の関門があるのは事実ですが、正しく理解すればむやみに怖がる必要はありません。入試方式もキャンパスも学部ごとに違います。この記事で、公式の一次情報と河合塾の2027年度データだけを使って整理していきますね。
東京理科大学 理系のポイント
- 理系は昼間6学部+理学部第二部(夜間)——偏差値は55.0〜62.5(河合塾2027・理系学部)
- 実力主義の「関門(原級留置)」制度が全学科に——「入ってからが本番」の大学
- 入試はA方式(共テ)・B方式(独自・王道)・S方式/理系は神楽坂・葛飾・野田の3キャンパス
私は私立高校で15年、理系(化学)を教えている現役教員です。三者面談では、「理科大は留年が多いと聞いたのですが、本当ですか?」という進級への不安を、生徒からも保護者からもよく相談されます。「A方式・B方式・S方式は、どれで受けるのがいいですか?」という入試方式の質問や、「偏差値はどのくらいですか?学部で違いますか?」「学部によってキャンパスが違うんですよね?」という質問も少なくありません。
この記事は、そうした面談で私がお伝えしている内容を、東京理科大学公式と河合塾Kei-Netの一次情報で確かめながら、1本にまとめたものです。昼間6学部と理学部第二部(夜間)の全体像から、実力主義の関門制度の実際、偏差値と学部差、A・B・S方式の使い分け、神楽坂・葛飾・野田のキャンパス、そして学費・就職・大学院まで、順に整理します。
読み終えるころには、関門制度を正しく理解したうえで、自分がどの学部・どの方式で受けるのが合っているかまで、自分の言葉で説明できるようになります。
なお、偏差値や入試方式は年度によって変わることがあるため、出願前には東京理科大学公式の最新の募集要項を必ずご確認ください。
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- はじめに|東京理科大の理系の全体像(実力主義・研究力私大1位)
- 東京理科大学とは|1881年創立・「理学の普及」・私学随一規模の理系総合大学
- 【全体像】昼間6学部+理学部第二部の早見表|偏差値・キャンパス・キーテーマ・向く人
- 理系の学部の違い|理学・工学・情報・薬学をどう選ぶか(昼間6学部)
- 【最大の特色】留年・関門制度(原級留置)|「入ってからが本番」は本当か
- 東京理科大の入試|A方式(共テ)・B方式(独自)・S方式
- 東京理科大受験に必要な英語力|B方式・A方式・英検の考え方
- 偏差値・倍率|河合塾2027(昼間6学部+理学部第二部)+直近入試結果
- 受験戦略・併願|方式の組み合わせと早慶上理・MARCH
- 学費・奨学金|理系初年度 約176〜182万・4年 約638万(薬6年は別水準)
- 大学院・進路・就職|院進率(昼間)65.1%・実就職率 全国1位
- 研究力・教育力|「私大1位」の研究環境と公開講座
- キャンパス|理系は神楽坂・葛飾・野田の3キャンパス
- 東京理科大の理系が向く人・向かない人
- よくあるご質問(Q&A)
- まとめ|東京理科大の理系は「実力主義 × 高い研究力 × 多様な方式 × 就職力」で選ぶ
- 次に読むのにおすすめの記事
- 【記事内データの注記】
はじめに|東京理科大の理系の全体像(実力主義・研究力私大1位)
東京理科大学は「理系に強い大学」として知られますが、学部の数が多く、入試方式も独特です。まずはこの章で全体像と、この記事の歩き方を押さえておきましょう。
東京理科大の理系の全体像
東京理科大は、理系を志す高校生にとって、私学では随一の選択肢の広さを持つ大学です。学部の数が多く名前も似ているため、いきなり1つずつ見ると混乱します。コツは、まず「理学・工学・情報・薬学」という4つの系統で大きくつかむことです。系統で当たりをつけてから、学部の中身を見比べていく――この記事もその順番で組み立てています。
理科大の理系の主役は、昼間に通う次の6学部です。
- 理学部:数学・物理・化学を軸に、純粋な「理学」を学ぶ学部。
- 工学部:建築・電気・機械・情報など、社会に直結する「工学」の学部。
- 先進工学部:マテリアルや生命システムなど、最先端の融合分野を扱う学部。
- 創域理工学部:理学と工学を横断する、学科数8の総合型理工学部(2023年に「理工学部」から改称)。
- 創域情報学部:情報を中核に据えた学部(2026年新設・野田キャンパス)。
- 薬学部:6年制の薬学科と、4年制の生命創薬科学科を持つ学部。
これに加えて、夜間に学べる理学部第二部があります。働きながら、あるいは学費を抑えて理学を学びたい人のための選択肢で、本記事ではコラムで紹介します。
ここで大事な前提を1つ。理科大の理系は学部の数が多く、名前も似ています。とくに創域理工学部と創域情報学部は混同されやすいので、第4章でしっかり区別して整理します。
東京理科大の理系の3つの個性
数ある理系大学のなかで、東京理科大には次の3つの個性があります。志望理由を考えるときの軸にもなります。
- 実力主義の「関門制度」:基礎科目で規定の単位を落とすと、ほかを取れていても留年する「関門(原級留置)」が全学科にあります。「入ってからが本番」の大学です。ただ、これは突き放す制度ではありません。大学は公式に「真に実力を身に付けた学生だけが卒業できる」という実力主義を掲げ、教務幹事や学習相談室など学修支援も手厚く整えています。学生をきちんと鍛えて卒業させる、本気の大学だということです(第5章でくわしく)。
- 研究力・教育力が私大トップクラス:「研究力が高い大学」「教育力が高い大学」で私立1位という評価を受けています。ただしこれは、大学通信が進路指導の先生方などに行ったアンケート調査による評価で、研究力そのものの絶対指標とは少し意味が違います。誇張せず、事実として受け取るのが大切です(第12章で正確に説明します)。
- 就職力の強さ:実就職率94.0%は、卒業生4,000人以上の大規模大学のなかで全国1位です(2025年3月卒)。これは大学通信が集計した「実就職率ランキング」で、実数に基づく数字です(先生方へのアンケートとは別物です)。鍛えられた理系人材が、メーカー・IT・建設・コンサルへ進んでいます。
この記事の使い方
この記事は全16章の構成です。気になるところから読んでいただいて構いません。
- 学部の中身を知りたい方は、理系の学部の違い=第4章へ。学部の選び方を系統で整理しています。
- 理科大の最大の特色「実力主義・関門制度」を知りたい方は、第5章へ。
- 入試方式(A方式・B方式・S方式)の仕組みは第6章へ。英語・英検の考え方は第7章へ。
- 偏差値・倍率は第8章、受験戦略・併願は第9章、学費は第10章、進路・就職は第11章へ。自分に向くかは第14章へまとめています。
※出典:東京理科大学 公式(学部・学科構成・実力主義/学修支援)/実就職率は大学通信2025年度調べの「実就職率ランキング」(実数)、研究力・教育力 私大1位は大学通信2025年度調べの進路指導教諭などへのアンケート調査による評価(取得日2026-06-22)。学部構成や評価は年度で変わるため、出願前に最新の募集要項を必ずご確認ください。
東京理科大学とは|1881年創立・「理学の普及」・私学随一規模の理系総合大学
学部の話に入る前に、東京理科大そのものを簡単に押さえておきましょう。志望理由を書くときにも役立ちます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | 東京理科大学(Tokyo University of Science) |
| 創立 | 1881年(明治14年) |
| 前身 | 東京物理学講習所 → 東京物理学校 |
| 建学の精神 | 「理学の普及を以て国運発展の基礎とする」 |
| 規模 | 4キャンパス・8学部33学科・学生 約20,193人 |
東京理科大学の歴史は古く、1881年(明治14年)に「東京物理学講習所」として創立されました。東京大学を卒業したばかりの若き理学士21名が立ち上げた、という成り立ちが特徴です。2年後には「東京物理学校」に改称し、のちの東京理科大学へとつながっていきます。2031年には創立150周年を迎えます。
建学の精神は「理学の普及を以て国運発展の基礎とする」。英語では「Building a better future with Science」と表現されます。科学を一部の人のものにせず、広く社会に役立てる、という姿勢が創立以来根づいているのが理科大です。
規模も私学のなかでは随一です。学生数は約20,193人、卒業生は23万人以上、教員は約1,780人。理系を中心とした総合大学として、私立では屈指のスケールを持っています。
研究力・教育力のランキングや科研費などの「大学としての環境」は第12章で、進路・就職の実績は第11章でくわしく扱います。
※出典:東京理科大学 公式(大学概要・沿革・建学の精神)(取得日2026-06-22)。規模の数値は基準日により変動するため、最新の公式情報をご確認ください。
【全体像】昼間6学部+理学部第二部の早見表|偏差値・キャンパス・キーテーマ・向く人
ここで、昼間6学部と理学部第二部を1つの表で見比べてみましょう。志望校選びの出発点になります。
| 学部 | 偏差値 | キャンパス | 系統 | キーテーマ・一言 |
|---|---|---|---|---|
| 理学部 | 60.0〜62.5 | 神楽坂 | 理学系 | 数学・物理・化学を軸に「純粋な理学」を深める |
| 工学部 | 57.5〜62.5 | 葛飾 | 工学系 | 建築・電気・機械・情報など社会直結の工学 |
| 先進工学部 | 57.5〜60.0 | 葛飾 | 工学系 | マテリアル・生命システムなど最先端の融合分野 |
| 創域理工学部 | 55.0〜60.0 | 野田 | 工学系(一部 情報系) | 8学科で理学と工学を横断する総合理工 |
| 創域情報学部 | 57.5 | 野田 | 情報系 | 情報を中核に据えた新学部(2026新設) |
| 薬学部 | 60.0 | 葛飾 | 薬学系 | 6年制 薬学科・4年制 生命創薬科学科 |
| 〔夜間〕理学部第二部 | 42.5〜45.0 | 神楽坂 | 理学系 | 学費が安い・社会人/再受験も学べる理学(参考) |
偏差値は河合塾Kei-Net 2027年度予想(方式別ランク)です。昼間理系の中心は57.5〜62.5の帯で、最上位の62.5は理学部と工学部です。理学部第二部は夜間で、別の偏差値帯(42.5〜45.0)になります。
理科大の理系は、神楽坂・葛飾・野田の3キャンパスに分かれています。理学部は神楽坂、工学部・先進工学部・薬学部は葛飾、創域理工学部・創域情報学部は野田キャンパス(千葉県野田市)です。このブログは東京・神奈川の理系受験を中心に扱っていますが、野田は千葉県になる点だけ頭に入れておきましょう。理系で「1年次だけ別の場所」という学部はなく、原則として入学時のキャンパスで学べます。
どの学部が向くか
表の数字だけでなく、「自分に合うか」で選ぶのが進路面談のコツです。ざっくり振り分けると、「純粋な理学なら理学部」「ものづくりの工学なら工学部・先進工学部」「幅広く選びたいなら創域理工学部」「情報中心なら創域情報学部」「薬なら薬学部」となります。
各学部の詳しい違いと、どんな人に向くかは、第4章で系統別にくわしく整理します。まずは全体像をつかんだうえで、第4章へ進んでください。
※出典:偏差値は河合塾Kei-Net 2027年度予想(方式別ランク)/キャンパス・学部構成は東京理科大学 公式(取得日2026-06-22)。偏差値・学部構成は年度や方式で変わるため、出願前に最新の募集要項を必ずご確認ください。
理系の学部の違い|理学・工学・情報・薬学をどう選ぶか(昼間6学部)
理科大の理系は学部が多く、名前も似ています。ここを「なんとなく」で選ぶと、入学後に「思っていた学びと違った」となりがちです。この章では、昼間6学部を順番に整理し、「何を学ぶ理系か」で選べるようにしていきます。
まずは4系統で見る|理学系・工学系・情報系・薬学系
学部をいきなり1つずつ見ると混乱します。最初は、大きく4つの系統で当たりをつけるのがおすすめです。
| 系統 | 含まれる学部 | ざっくり言うと |
|---|---|---|
| 理学系 | 理学部 | 数学・物理・化学そのものを深める「純粋理学」 |
| 工学系 | 工学部・先進工学部・創域理工学部 | ものづくり・しくみづくりの「工学」 |
| 情報系 | 創域情報学部+創域理工の情報系学科 | 情報・データ・AIを中核に学ぶ |
| 薬学系 | 薬学部 | 薬剤師・創薬研究をめざす |
ポイントは、情報系が2か所にまたがることです。情報を学べるのは、新設の「創域情報学部」だけではありません。「創域理工学部」のなかにも電気電子情報工学科のような情報系の学科があります。「情報をやりたい」と思ったら、創域情報学部と創域理工学部の両方を見比べるのが正解です(違いは4-4・4-5でくわしく)。

なるほど、まず4つの系統で考えればいいんですね。情報が2つの学部にあるのは知りませんでした。

そこが理科大のつまずきポイントなんです。「情報=創域情報学部だけ」と思い込むと選択肢を狭めてしまいます。系統でざっくりつかんでから、学部の中身を見比べる――この順番なら迷いませんよ。
理学部(偏差値60.0〜62.5)
理学部は、理科大の原点ともいえる学部です。数学・物理・化学を軸に、応用数学・応用化学、そして2026年新設の科学コミュニケーション学科まで、「純粋な理学」を深く学びます。応用や実用の前に、まず自然のしくみそのものを解き明かすことに重きを置く学部です。
化学担当の私から見ると、ここは「理科そのものが好きな人」の学部です。偏差値帯は60.0〜62.5と、昼間6学部のなかで最も高い水準にあります。研究者や教員、専門性を活かす道をめざす人にとって、土台となる力をじっくり鍛えられます。キャンパスは神楽坂です。
注目したいのが、2026年に新設された科学コミュニケーション学科です。これは「科学技術を広く”伝える”人材を育成する」という、ユニークな学科です。建学の精神「理学の普及」を、いまの時代に体現する学科だと言えます。理学の知識を土台に、情報・データサイエンス/数理/物理学/化学の4コースから専門を選びつつ、サイエンスライティングやELSI(科学技術の倫理的・法的・社会的課題)といった、ほかではあまり見ない科目も学びます。大学公式も「他大学に類を見ない学科」と表現しています。定員は80名、キャンパスは神楽坂、卒業すると学士(理学)の学位が得られます。「研究そのものより、科学を社会に伝える側にまわりたい」という人には、有力な選択肢です。
向く人:数学・物理・化学そのものを深く学びたい人。研究・教育の道や、高い専門性を志す人。科学を社会に「伝える」側に関心がある人(科学コミュニケーション学科)。
工学部(偏差値57.5〜62.5)
工学部は、建築・工業化学・電気工学・情報工学・機械工学の5学科からなる、「社会に直結する工学」の学部です。理学部が「しくみを解き明かす」のに対し、工学部は「しくみを使って何かをつくる・動かす」方向に重きを置きます。キャンパスは葛飾です。
偏差値帯は57.5〜62.5で、こちらも理学部と並ぶ高さです。とくに建築は人気が高く、2026年度入試のB方式(独自試験)では実質倍率5.0倍と、理科大の理系学科のなかでも屈指の倍率でした。情報工学も倍率4.1倍と人気です。
向く人:建築・電気・機械・情報など、社会に役立つ「ものづくり・しくみづくり」に取り組みたい人。
先進工学部(偏差値57.5〜60.0)
先進工学部は、2021年に「基礎工学部」から改称した学部です。電子システム工・マテリアル創成工・生命システム工・物理工・機能デザイン工の5学科で、分野の境目にある最先端のテーマを扱います。材料、生命、電子といった領域を融合し、新しい技術を生み出すことをめざす学部です。キャンパスは葛飾です。
注目したいのは、大学院進学率の高さです。理科大全体の昼間学部(経営除く)の院進率が65.1%なのに対し、先進工学部は70.2%と、学部のなかでも高い水準にあります。学部のあと大学院まで進んで研究を深める人が多い、研究志向の強い学部だといえます。
向く人:マテリアル・生命・電子など、最先端の融合分野に興味がある人。大学院まで進んで研究したい人。
創域理工学部(偏差値55.0〜60.0)
創域理工学部は、2023年に「理工学部」から改称した学部です。数理科学・先端物理・生命生物科学・建築・先端化学・電気電子情報工・機械航空宇宙工・社会基盤工という8学科を持ち、理科大の理系のなかで最も学科数が多い「総合型」の学部です。キャンパスは野田です。
最大の特徴は、理学から工学までを1つの学部で横断できることです。数学や物理といった理学系の学科から、建築・機械航空宇宙・社会基盤といった工学系の学科まで揃っています。「理系に進みたいけれど、分野を1つに絞りきれない」という人にとって、選択肢の広さが魅力です。偏差値帯は55.0〜60.0で、昼間6学部のなかでは比較的入りやすい帯から狙えます。
なお、この学部のなかにある電気電子情報工学科は情報系の学科で、4-5の創域情報学部とテーマが近い部分があります。情報を学びたい人は、両方を見比べるのがおすすめです(次項でくわしく)。
向く人:分野をまだ1つに絞れない人。理学と工学を横断して、幅広く理系を学びたい人。
創域情報学部(偏差値57.5・2026年新設・野田)
創域情報学部は、2026年に新設された最も新しい学部です。情報理工学科を中心に、情報・データ・AIを中核に据えて学ぶ学部で、キャンパスは野田です。偏差値は57.5です。
ここで、多くの受験生が迷う「創域理工学部と創域情報学部の違い」を整理しておきます。両方とも野田キャンパスで、名前も「創域」で始まるため混同されがちですが、性格がはっきり違います。
| 観点 | 創域理工学部 | 創域情報学部 |
|---|---|---|
| 学科の幅 | 数学〜建築〜機械航空宇宙まで8学科 | 情報理工学科を中心とした情報特化 |
| 学びの中心 | 理学〜工学を横断する「総合理工」 | 情報・データ・AIが中核 |
| 情報を学べるか | 電気電子情報工学科など一部の学科で | 学部まるごと情報が中心 |
| 向く人 | 分野を絞らず幅広く学びたい人 | 最初から情報を主軸に決めている人 |
ひとことで言えば、「情報も含めて幅広く=創域理工」「情報を主軸に集中=創域情報」という違いです。「情報をやりたい」と固まっている人は創域情報学部、「情報にも興味はあるが他分野も見たい」という人は創域理工学部、という選び方が分かりやすいでしょう。

創域理工と創域情報、名前が似すぎていて、どっちがどっちか分からなくなります…。

みんなここでつまずくんですよ。覚え方はシンプルです。創域理工は「8学科の総合デパート」、創域情報は「情報の専門店」。情報を主役にしたいなら創域情報、まだ分野を決めきれず幅広く見たいなら創域理工――この一言で区別できますよ。
向く人:最初から情報・データ・AIを主軸に学ぶと決めている人。新設学部で新しい環境に挑みたい人。
薬学部(偏差値60.0・6年制 薬学科と4年制 生命創薬科学科)
薬学部は、6年制の薬学科と4年制の生命創薬科学科という、修業年限の異なる2学科を持つ学部です。偏差値は60.0です。薬学部は2025年4月に、野田キャンパスから葛飾キャンパスへ移転しました。
2つの学科は、めざす出口が違います。
- 薬学科(6年制):薬剤師の国家試験受験資格をめざす学科です。ただ、ねらいは薬剤師の養成だけではありません。大学は公式に「薬剤師と、薬剤師免許を持つ薬学研究者の育成」を掲げています。卒業後の進路は、製薬大手(アステラス・第一三共・武田など)や大学病院、厚生労働省・PMDA(医薬品医療機器総合機構)といった公務員が中心です。大学院へ進む人は少数(約3.2%)で、就職が主な出口になります。国家試験対策が手厚いのも特徴です。修業年限が6年なので、学費も別水準(初年度 約246.5万円)になります。
- 生命創薬科学科(4年制):薬剤師ではなく、創薬研究(新しい薬を生み出す研究)をめざす学科です。大学院進学率は約90%(90.3%)と非常に高く、研究者・開発者をめざす人に向いています。大学公式は「定員100名の薬学系4年制学科は国内唯一」と説明しています。
注意したいのは、薬剤師の国家試験受験資格が得られるのは薬学科(6年制)だけだという点です。生命創薬科学科は薬剤師をめざす学科ではありません。「薬学部=薬剤師」と思われがちですが、理科大の薬学部には研究志向の4年制ルートもある、という点はぜひ押さえておきたいところです。
なお、薬学部のB方式(独自試験)でも、数学は数Ⅲまで含みます。「薬学部だから数Ⅲは要らない」ということはないので、ここも早めに確認しておきましょう。
向く人:薬剤師、あるいは薬剤師免許を持つ研究者をめざすなら薬学科(6年制)。新しい薬をつくる研究をめざすなら生命創薬科学科(4年制)。
📌コラム:理学部第二部(夜間)という選択肢
昼間6学部のほかに、理科大には理学部第二部という夜間の学部があります。数学・物理・化学の3学科で、夕方から夜にかけて授業が行われます。創立以来の「理学の普及」という理念を、最もよく体現している学部ともいえます。
この第二部は、ただ「昼間の簡易版」というわけではありません。大学公式が挙げる特色を整理すると、次のようになります。
- 学費が昼間学部よりかなり低廉(参考:年額110万円前後)。
- 就業学修サポート制度があり、働いて学費・生活費を得ながら学べる。
- 昼間と変わらない本格的な理学教育を受けられ、図書・オンラインジャーナル・ソフトなど昼間と同じ教育リソースを使える。
- 大学院へ進学する人も多数いる。
つまり、本格的に理学を学べる夜間学部です。化学担当の私の現場目線で言えば、「どうしても理科大で理学を学びたい」という人や、「働きながら、あるいは費用を抑えて、それでもしっかり学びたい」という人の、現実的で誠実な選択肢になります。かなり腰を据えて学ぶ姿勢が求められる、本格派の夜間学部だと考えてください。
ただし、注意点もあります。理学部第二部は留年率が高めで、2024年のデータでは14.4%と、学部のなかで突出しています。働きながら基礎科目の関門(第5章)を越えるのは、決して簡単ではありません。「学費が安いから」だけで選ぶのではなく、両立の覚悟も含めて検討してほしい学部です。留年率と関門制度のしくみは、第5章でくわしく解説します。
※出典:偏差値は河合塾Kei-Net 2027年度予想(方式別ランク)/倍率は2026年度入試結果(実質倍率=受験者÷合格者)/学部・学科構成・科学コミュニケーション学科・薬学部の進路と方針・理学部第二部の特色・学費・留年率・院進率は東京理科大学 公式(取得日2026-06-22)。偏差値・倍率・学費は年度や方式で変わるため、出願前に最新の募集要項を必ずご確認ください。
【最大の特色】留年・関門制度(原級留置)|「入ってからが本番」は本当か
東京理科大学を調べると、必ず出てくるのが「入ってからが厳しい」「留年が多い」という話です。最初にお伝えしておきたいのは、この章は不安をあおるための章ではありません。あくまで、入学後の「こんなはずじゃなかった」というミスマッチを防ぐための章です。仕組みをきちんと知って、自分に合うかどうかを落ち着いて見極めていただくのが目的です。
進路面談でも、関門制度の話だけ聞いて怖くなってしまう生徒がいます。ですが、中身を正しく理解すると「だからこそ鍛えられて、就職や研究に強い」というプラスの面まで見えてきます。順番に整理していきましょう。
関門制度(原級留置)とは
東京理科大学には、全学科に「関門(原級留置制)」という仕組みがあります。これは、進級のときに「決められた基礎科目で、規定の単位をきちんと取れているか」を関門として確認する制度です。ほかの科目をたくさん取っていても、関門の基礎科目を落とすと、その時点で進級できず留年(原級留置)になります。
主な関門は、1年生から2年生に上がるところに置かれています。ここが最大の山場です。工学系の学部では、3年生から4年生に上がるところにも関門があり、卒業に必要な英語の単位なども含まれます。薬学部(6年制)はさらに細かく、各学年で進級判定が行われます。
具体的なイメージをつかむために、公式に示されている例を挙げます。
| 学部・学科 | 関門の例(基礎科目で求められる条件) |
|---|---|
| 理学部 数学科 | 指定の26単位中、16単位以上の取得 |
| 理学部 物理学科 | 基礎3科目中2科目+物理学実験1の合格 |

たくさん単位を取っていても、基礎科目を1つ落としたら留年なんですか…?

そこが関門制度の特徴です。「全体の合計点」ではなく「土台となる基礎科目を、確実に固められているか」を見ます。逆に言えば、基礎をきちんと積み上げていく人なら、過度に恐れる必要はありませんよ。
留年率の実態(公式データ)
「即留年」と聞くと身構えますが、数字で見ると印象が変わります。東京理科大学が公式に出している2024年度のデータを見てみましょう。学士課程(昼間・夜間を含む全体)の留年率は6.2%です。在籍16,575名のうち、留年が1,021名という数字です。
ここで大事なのが、学部によって留年率に差があるという点です。とくに目立つのは、夜間の理学部第二部が14.4%と突出している点です。働きながら学ぶ学生が多い夜間の特性が表れています。一方、昼間の理系学部は、思ったほど高くありません。
| 学部 | 留年率(2024年度・学士) |
|---|---|
| 学士全体 | 6.2% |
| 理学部第二部(夜間・参考) | 14.4% |
| 工学部 | 7.2% |
| 理学部 | 6.8% |
| 創域理工学部 | 5.3% |
| 先進工学部 | 4.2% |
| 薬学部 | 3.1% |
こうして並べると、「東京理科大=みんな留年する」というイメージは正確ではないことがわかります。昼間の理系で見ると、おおむね3〜7%程度です。つまり、基礎をおろそかにしなければ、多くの学生が順調に進級しているということです。
高校生のうちに準備すべきこと
関門制度への一番の対策は、特別なものではありません。「基礎を、毎日少しずつ固める学習姿勢」を高校のうちに身につけておくことです。これは入試対策そのものでもあるので、二度おいしい準備になります。
具体的には、3つあります。1つ目は、数学と理科の基礎演習を「わかったつもり」で終わらせず、自分の手で解ききる習慣です。2つ目は、わからない箇所をその週のうちに先生や友人に聞いて解消する習慣です。3つ目は、定期テストの前だけでなく、ふだんから少しずつ復習を回す習慣です。
この3つは、どれも大学に入ってからの関門攻略にそのままつながります。一般選抜で合格できるだけの努力を重ねられた人なら、入学後に真面目に過ごすだけで関門をクリアできる力は十分に身についているので、過度に心配しすぎる必要はありません。
だからこそ、就職・研究に強い
ここまで読むと、関門制度は「厳しいだけの仕組み」に見えるかもしれません。ですが、見方を変えると、これは東京理科大学の大きな強みでもあります。基礎をきちんと固めた学生だけが進級していくため、卒業生の実力が社会から信頼されているのです。
東京理科大学は、これを「実力主義」として公式に掲げています。「真に実力を身に付けた学生だけが卒業できる」という考え方で、2020年度には「次代に向けた実力主義(Achieving Excellence)」として、高い専門性・科学的思考力や独創性などを柱に再定義されました。「ふるい落とすため」ではなく、「鍛えて卒業させるため」の仕組みだと位置づけているわけです。
その本気度は、学修支援の手厚さにも表れています。履修や学習の相談に乗る教務幹事、授業をサポートする大学院生のTA、数学・物理・化学を気軽に相談できる学習相談室(ES=上級学年の研修学生が常駐)、さらに合格者向けの入学前学習支援講座(数学・理科の総復習)まで用意されています。関門という高いハードルを課す一方で、そこを越えるための支えもきちんと整えている、という印象です。
実際、東京理科大学は、卒業生4,000人以上の大規模大学のなかで実就職率94.0%と全国1位の実績があります(2025年3月卒・大学通信が集計した実就職率ランキング=実数ベース)。大学院への進学率も、経営学部を除く昼間で65.1%と高い水準です(2026年3月卒)。「鍛えられた基礎力」が、就職や研究という出口でしっかり評価されている、ということです。
教員の目線で正直に申し上げると、留年は理科大に限らず、ほかの上位大学にも一定数いるのが実情です。そのなかで理科大は、関門制度のしくみや学部別の留年率まで数字で公表しています。私はこの誠実さを高く評価しています。情報を隠さず示したうえで、支援も整えて学生を成長させてくれる――保護者の方にも安心しておすすめできる大学だと感じています。

「留年が多い」と聞いて心配でしたが、数字も支援も公表されていると、かえって安心できますね。

そうなんです。厳しさを隠す大学より、数字も支援もきちんと示してくれる大学のほうが、私は信頼できると考えています。関門は本人にとっては大変ですが、それを越えさせるための仕組みも整っています。怖がるより「鍛えてもらえる環境」と捉えると、見え方が変わりますよ。
※出典:東京理科大学 公式(データ集 表4・2024年度/実力主義・学修支援ページ/実就職率・院進率はデータで見るTUS・大学通信2025年度調べ)(取得日2026-06-22)。留年率や関門の条件、就職・進学のデータは年度や学部・学科で変わるため、出願前に最新の公式情報を必ずご確認ください。
東京理科大の入試|A方式(共テ)・B方式(独自)・S方式
東京理科大学の一般選抜は、大きく3つの方式に分かれます。A方式(共通テスト利用)、B方式(本学独自試験)、S方式(一部学科の独自試験)です。名前が似ていて混同しやすいので、まずは「どれが王道か」を押さえましょう。結論から言うと、募集枠の中心はB方式です。
なお、以前あったC方式・グローバル方式は、2026年度から廃止されています。古い情報を見ると残っていることがあるので、注意してください。現在の方式は、A・B・Sの3つと覚えておけば大丈夫です。
B方式(本学独自試験=募集枠の王道)
B方式は、東京理科大学が独自に作る試験で受ける方式です。全学部で実施され、募集枠が最も大きい王道のルートです。理科大を一般選抜で受けるなら、まずこのB方式が出願計画の軸になります。
3教科の中身は、①数学②英語③理科(物理・化学・生物から学科指定)です。数学はⅢまで含みます(薬学部も含め、理系の全学科でⅢまでが範囲です)。理科は学科ごとに「物理・化学・生物のどれを使うか」が指定されるので、志望学科の指定科目を早めに確認しておきましょう。
配点は、学科によって3つのパターンがあります。多くの学科は各教科100点・3教科300点の均等配点ですが、一部の学科は特定の教科に重みをつける「傾斜配点」になっています。
| 学科のパターン | B方式の配点(合計) |
|---|---|
| 一般的な学科 | 各教科100点・3教科=300点 |
| 理学部 化学科・応用化学科 | 化学150点+他各100点=350点 |
| 創域理工学部 数理科学科 | 数学200点+他各100点=400点 |
均等配点の学科では、3教科をバランスよく仕上げることが求められます。一方、化学や数学に重みのある学科では、得意科目で差をつけやすくなります。自分の得意科目と学科の配点が合っているかは、出願校を選ぶときの大事な視点です。

方式がいくつもあって、どれから考えればいいか迷っていました。

まずはB方式を軸に考えるのがおすすめです。募集枠が一番大きく、独自試験で実力を正面から評価してもらえます。数学や化学が得意なら、傾斜配点のある学科を選ぶと、その強みを活かせますよ。
A方式(共通テスト利用・4類型)
A方式は、共通テストの得点を使って合否を判定する方式です。理科大に出向く独自試験はありません。A方式は、次の4つの類型に分かれます。志望や得意科目に合わせて選べるのが特徴です。
| A方式の類型 | 配点・内容 |
|---|---|
| ①4教科型 | 共通テスト4教科=700点(経営学部は800点) |
| ②3教科型(2026新設) | 共通テスト3教科=600点 |
| ③2教科+英語資格検定(2026新設) | 共通テスト2教科で判定+英語の外部検定を出願資格に |
| ④理学部第二部型(夜間) | 共通テスト3教科=600点 |
それぞれの中身を、もう少しくわしく見てみましょう。理系の各類型の配点は、次のとおりです。
- ①4教科型(理系・700点):外国語200(リーディング100+リスニング100)/数学200(数ⅠA+数ⅡBC)/理科200(物理・化学・生物・地学から1)/そして4教科目として「国語100」か「情報Ⅰ100」を選択します。
- ②3教科型(理系・600点):外国語200/数学200/理科200の3教科です。こちらには情報Ⅰの枠はありません。
- ③2教科+英語資格検定:英語の外部検定を出願資格とし、共通テスト2教科で合否を判定します(英語の扱いはこの章のコラムでくわしく)。
ここで、よくある誤解を1つ解いておきます。「情報Ⅰ」については、理系の昼間6学部すべてで、①4教科型の4教科目として情報Ⅰを選べます(国語との選択)。ただし、これはあくまで4教科型の選択科目であって、「すべてのA方式で情報Ⅰが必須」というわけではありません。3教科型には情報Ⅰの枠そのものがありません。「全A方式必須ではなく、4教科型の選択科目」と正確に押さえておきましょう。
もう1つ。③の「2教科+英語資格検定」と②の「3教科型」は、いずれも2026年度に新設された方式です。新しい方式は募集枠が小さいため、倍率が高めに出やすい傾向があります。チャンスではありますが、「枠が小さい分、競争は厳しめ」という前提で考えておきましょう。
S方式(創域理工の一部学科・400点)
S方式は、創域理工学部の一部の学科だけで実施される独自試験の方式です。特定の科目に大きな配点を置いているのが特徴で、満点は400点です。得意科目が際立っている人にとっては、狙い目になる方式です。
| 学科 | S方式の配点(計400点) |
|---|---|
| 創域理工学部 数理科学科 | 数学300点+英語100点 |
| 創域理工学部 電気電子情報工学科 | 物理200点+数学100点+英語100点 |
たとえば数理科学科のS方式は、400点中300点が数学です。数学が突出して得意な人なら、その1教科で大きく差をつけられます。ただし対象学科は限られているので、「創域理工の一部学科にある特別ルート」と理解しておきましょう。
年内入試(総合型選抜・学校推薦型選抜)
ここまでは一般選抜(A・B・S方式)の話でした。東京理科大学には、年内に実施される総合型選抜・学校推薦型選抜もあります。ただし、募集の中心はあくまで一般選抜(とくに全学部で実施するB方式)です。年内入試は枠が限られるので、「使える人は検討する」という位置づけで押さえておきましょう。
総合型選抜は、大きく3つの種類があります。①英語資格検定と特定教科の評価を組み合わせる方式、②理学部第二部(夜間)の方式、③女子を対象とする方式(工学系の学部・学科が対象)です。選考は、書類審査・面接・口頭試問・小論文などで行われます。出願資格として、数学・理科の評定平均がそれぞれ4.0以上といった基準が設けられています。評定の基準があるため、高1からの定期テストの積み重ねが効いてきます。
学校推薦型選抜は、指定校制で実施されます。在籍する高校が理科大の指定校になっているかどうかが前提になるので、まずは進路の先生に確認してみてください。
総合型・学校推薦型は、いずれも年内に出願・選考が行われます。具体的な日程や条件は年度によって変わるため、最新の募集要項で必ず確認しましょう。「自分が使える年内入試があるか」を早めに把握しておくと、出願計画に余裕が生まれます。
📌コラム:英検は”出願資格”|CSE1950で出願可・加点なし(早慶/上智との違い)
早慶上理の4校では、英語の外部検定の使い方がそれぞれ違います。整理すると、早稲田・慶應の理系一般選抜では外部検定を基本的に使いません。上智はTEAP利用・併用など、英語の外部検定を入試に組み込む方式があります。そして東京理科大学は、A方式の「2教科+英語資格検定」で、英語の外部検定を出願資格として使います。
ここで一番大事なのは、東京理科大学の外部検定は出願資格型であって、スコアに応じた加点はしないという点です。基準を満たしていれば出願でき、合否は共通テストの得点で判定されます。基準は、英検ならCSE1950以上です(級ではなくCSEスコアで判定されます)。各検定の基準は次のとおりです(いずれも2025年4月1日以降に受験したスコア)。
| 検定 | 出願資格の基準(4技能) |
|---|---|
| ケンブリッジ英語検定 | 140以上 |
| 英検 | CSE 1950以上(級ではなくCSEで判定) |
| TEAP | 225以上 |
| GTEC(検定版) | 930以上 |
| IELTS(Academic) | 4.0以上 |
| TOEFL iBT | 42以上 |
| TOEIC(L&R+S&W) | 1150以上 |
早慶上理の4校で対照すると、次のようになります。
| 大学 | 英語外部検定の扱い |
|---|---|
| 早稲田・慶應 | 理系一般選抜では基本的に使わない |
| 上智 | TEAP利用・併用など入試に組み込む方式あり |
| 東京理科大学 | 英検CSE1950以上などで「出願資格」(加点なし) |
英検をどう受験戦略に組み込むかは、理系の英検で級の目安や受け方をまとめています。英検と大学入試の関係そのものを整理したい方は、英検と大学入試の仕組みもあわせてご覧ください。

英検が「加点」じゃなくて「出願資格」っていうのは、大事なポイントですね。

そこを取り違える人が多いんです。理科大では、英検は高いスコアを取ったら点が上乗せされる、という仕組みではありません。基準のCSE1950を満たして「出願できる状態」を作ったら、あとは共通テストの得点勝負になります。だから英検は早めに基準をクリアしておくのが賢い進め方ですよ。
※出典:東京理科大学 公式(2027年度募集要項・一般選抜トップ/A方式各ページ・配点/B方式試験科目/出願資格PDF/総合型・学校推薦型 入試一覧)(取得日2026-06-22)。方式・配点・英語外部検定の基準・年内入試の条件は年度で変わるため、出願前に最新の募集要項を必ずご確認ください。
東京理科大受験に必要な英語力|B方式・A方式・英検の考え方
ここまで入試方式を見てきました。この章では、東京理科大学を受けるうえで必要な英語力を、方式ごとに整理します。理科大は数学・理科の比重が大きい大学ですが、英語の準備の仕方を間違えると、思わぬところで足を引っ張られます。方式に応じて、対策の力点が変わる点を押さえましょう。
まずB方式の英語対策(独自試験の英語)
王道のB方式では、英語も東京理科大学の独自試験で受けます。配点は基本的に100点で、数学・理科と並ぶ3教科の1つです。傾斜配点のない学科では、英語が苦手だと合計点で不利になるため、おろそかにはできません。
理科大の独自試験の英語は、奇をてらった問題というより、読解力・文法力・語彙力を正面から問う傾向があります。ですから、入試英語の土台をていねいに固めることが、そのまま得点につながります。理系の生徒は数学・理科に時間を使いたいので、英語は「型を決めて効率よく回す」のがコツです。

理系だから英語は後回しでいい、と思っていました…。

気持ちはわかりますが、B方式では英語も配点100点の主力科目です。後回しにすると合計点で差がつきます。とはいえ、特別に難しいことをする必要はありません。読解と単語をコツコツ固めれば、十分に得点源にできますよ。
A方式の英語資格検定は早めに確保
A方式の「2教科+英語資格検定」を使う場合、英語の準備の考え方ががらりと変わります。第6章で見たとおり、ここでの英語外部検定は出願資格型です。英検ならCSE1950以上を満たせば出願でき、スコアに応じた加点はありません(基準の一覧は第6章のコラムをご覧ください)。
これは、見方を変えると大きなメリットになります。英検CSE1950ほかの基準を早めにクリアしてしまえば、出願資格は確保できます。あとは共通テストの2教科(数学・理科など)の得点勝負に集中できるのです。戦い方はシンプルで、まず早めにCSE1950を確保し、本番は得意の理数に集中する――これがA方式を使う場合の王道になります。
逆に、直前期になって英語の資格づくりに追われると、肝心の数学・理科の仕上げが手薄になります。高2のうちに基準をクリアしておけば、受験学年は理数に専念できます。しかも、ここで取った英検などのスコアは、ほかの大学の出願にもそのまま活きることが多いので、早めの準備は二重にお得です。

英検を早めに取っておくと、最後は理数に集中できるんですね。

そのとおりです。A方式の英語は「基準を満たすかどうか」が勝負で、満たした先に上乗せはありません。だから、早めにCSE1950をクリアして「英語は済ませた」状態を作っておくのが一番効率的なんです。これは他大学の出願にも活きますよ。
英検対策は英検クラスタへ
英検の具体的な対策の進め方は、当ブログの英検クラスタの記事にまとめています。理科大のA方式で英検を使うなら、CSE1950をどう取りにいくか、いつまでに取るかが大切です。級の目安や受け方、勉強の進め方は、理系の英検でくわしく解説していますので、あわせてご覧ください。
英検は受験会場も日程も豊富で、高校生にとって取り組みやすい外部試験です。普段から英検を進めている生徒なら、理科大用に特別な準備を増やさなくても、出願資格づくりにそのまま使えます。問題演習を効率よく進めたいときは、教材や外部サービスも選択肢になります。「自分が受ける方式で英検が必要か」を早めに確認し、必要なら逆算して計画を立てましょう。
理科大A方式の英検基準はCSE1950=準1級レベルです。準1級を本番形式で仕上げるなら、リーディング・リスニング・ライティング・面接の全技能を過去問でまとめて演習できる1冊が効率的です。2024年度に加わった要約問題に対応した最新版を選びましょう。
紙を何冊もそろえるより、パソコンやiPadで演習を回したい人には、旺文社の英検対策教材(『英検でる順パス単』『英検過去6回全問題集』『7日間完成 英検予想問題ドリル』)のデジタル版をまとめた「英検ネットドリル」も選択肢です。開発・販売は株式会社ショウイン(旺文社からライセンスを受けて提供)で、自動採点と辞書機能がつき、すきま時間でも学習が前に進みます。準1級は年間14,190円(税込)。各級5問の無料体験で、画面で解く感覚を試してから検討できます。
※上で紹介した過去問集とは別の教材です。
※出典:東京理科大学 公式(2027年度募集要項・出願資格PDF)(取得日2026-06-22)。英語外部検定の基準スコアや扱いは年度で変わるため、出願前に最新の募集要項を必ずご確認ください。
偏差値・倍率|河合塾2027(昼間6学部+理学部第二部)+直近入試結果
ここまで学部・学科ごとの中身を見てきました。この章では、偏差値と倍率を一覧で整理します。志望校を「自分にとってどのくらいの位置づけか」でつかむための章です。数字は河合塾Kei-Netの2027年度予想偏差値と、東京理科大学公式の2026年度入試結果でそろえています。
河合塾2027の偏差値(昼間6学部+理学部第二部)
ここでは、第3章の早見表に、共通テスト得点率と指標の注意を加えた形で整理します。東京理科大の理系の主役は、理学部・工学部・先進工学部・創域理工学部・薬学部・創域情報学部の昼間6学部で、これに夜間の理学部第二部が加わります。河合塾2027年度予想(方式別ランク)で並べると、次のとおりです。
| 学部 | 共テ得点率 | 偏差値(河合塾2027・方式別ランク) |
|---|---|---|
| 理学部 | 79〜86% | 60.0〜62.5 |
| 工学部 | 79〜86% | 57.5〜62.5 |
| 先進工学部 | 78〜84% | 57.5〜60.0 |
| 創域理工学部 | 75〜83% | 55.0〜60.0 |
| 薬学部 | 80〜84% | 60.0 |
| 創域情報学部(2026新設) | 82〜83% | 57.5 |
| 〔参考・夜間〕理学部第二部 | 60〜67% | 42.5〜45.0 |
偏差値は河合塾Kei-Net 2027年度予想(方式別ランク)です。
昼間理系の中心は57.5〜62.5の帯におさまり、最上位の62.5は理学部・工学部です。薬学部も60.0と高水準です。一方、夜間の理学部第二部は42.5〜45.0で、昼間とはまったく別の難度帯になります(第二部については第4章のコラムをご覧ください)。
ここで1つ、注意してほしいことがあります。河合塾には、いま示した「方式別ランク」とは別に、高1・高2向けの「学部学科ランク」という指標もあり、同じ学部でも値が違って見えることがあります(たとえば創域情報学部は学部学科ランクだと60.0と表示されます)。本記事では、実際の出願に直結する「方式別ランク」で統一していますので、ほかのサイトの数字と見くらべるときは、どちらの指標かをそろえて比べてください。
2026年度入試の倍率
次に、実際の入りやすさをつかむための倍率です。ここでの倍率は、東京理科大学公式の2026年度入試結果による実質倍率(受験者÷合格者)です。志願者数ではなく実際に受けた人で割っているので、体感に近い数字になります。
理科大の募集枠の王道は、本学独自試験のB方式です。学部別の主な学科の実質倍率(2026年度)は、次のとおりです。
| 学部 | 主な学科のB方式 実質倍率(2026) |
|---|---|
| 理学部 | 数学3.6/物理4.1/化学3.0/応用数学2.8/応用化学3.2/科学コミュ2.5 |
| 工学部 | 建築5.0/工業化学3.0/電気工3.0/情報工4.1/機械工3.0 |
| 薬学部 | 薬学3.7/生命創薬3.4 |
| 創域理工学部 | 数理3.3/先端物理2.8/生命生物3.4/建築4.3/先端化学2.9/電気電子情報3.3/機械航空宇宙3.3/社会基盤2.9 |
| 創域情報学部 | 情報理工C系4.6/D系2.5 |
| 先進工学部 | 電子システム3.0/マテリアル2.8/生命システム2.7/物理工2.5/機能デザイン2.7 |
倍率は2026年度入試結果(実質倍率=受験者÷合格者)です。
※創域情報学部の「C系・D系」は学部内の受験系統名であり、2026年度から廃止された「C方式」とは別物です。
B方式で人気が高め=倍率が高めなのは、工学部 建築(5.0)・創域情報 情報理工C系(4.6)・理学部 物理(4.1)・工学部 情報工(4.1)あたりです。建築や情報系の人気が、倍率にもはっきり表れています。とはいえ、多くの学科は3倍前後で、私大理系としては落ち着いた水準です。
S方式(創域理工の一部学科)の実質倍率も触れておきます。2026年度は数理科学科3.3/電気電子情報工学科4.5でした。電気電子情報工は、対象学科が限られるS方式のなかでは高めに出ています。
なお、A方式(共通テスト利用)は2026年度から方式が広がりました。①4教科型はおおむね2.0〜3.1倍、②3教科型(2026新設)はおおむね2.5〜5.0倍、③2教科+英語資格検定型(2026新設)はおおむね2.0〜3.7倍です。ここで気をつけたいのが、③と②は2026年度に新設された方式だという点です。新しい方式は募集枠が小さいため、応募が集まると倍率が出やすくなります(実際、3教科型では創域理工 建築が5.0倍と高めでした)。「新方式は枠が小さく倍率が振れやすい」と頭に入れておきましょう。

建築の5.0倍と聞くと、急に不安になります……。

気持ちはわかります。ただ、この倍率は「受験した人を合格者で割った実質倍率」で、志願者ベースの見かけの倍率より実態に近い数字です。建築や情報系は人気で高めに出ますが、同じ大学でも学科や方式で大きく違います。倍率の数字だけで諦めず、自分の得意科目で戦える学科・方式を選ぶのがおすすめです。倍率は年度で動くので、出願時には最新の入試結果も確認してくださいね。
📌コラム:B方式 合格最低点の代表例(300点満点・参考)
倍率とあわせて、「何点くらい取れば届くのか」の感覚もつかんでおきましょう。参考として、B方式(300点満点・傾斜配点の特例学科を除く)の2026年度 合格最低点を、いくつか挙げます。
| 学科の例 | B方式 合格最低点(2026・300点満点) |
|---|---|
| 理学部 化学 | 220点 |
| 理学部 物理 | 196点 |
| 工学部 情報工 | 208点 |
| 工学部 建築 | 205点 |
| 薬学部 薬学 | 165点 |
同じB方式でも、学科によって合格最低点はかなり違います。300点満点でおおむね6〜7割が一つの目安ですが、人気学科ほど高くなる傾向です。あくまで2026年度の参考値なので、年度で動く点はご承知おきください。
※出典:偏差値は河合塾Kei-Net 2027年度予想(方式別ランク)/倍率・合格最低点は東京理科大学 公式の2026年度入試結果(実質倍率=受験者÷合格者)(取得日2026-06-22)。偏差値・倍率・合格最低点は年度や方式で変わるため、出願前に最新の募集要項を必ずご確認ください。
受験戦略・併願|方式の組み合わせと早慶上理・MARCH
前章までで、東京理科大の入試方式と偏差値・倍率を見てきました。この章では一歩進んで、理科大の中で方式をどう組み合わせるか、そして早慶上理・MARCHとどう併願するかを整理します。ここを押さえると、ムダのない出願計画が立てられます。
A/B/S方式の併願|理科大は「同じ大学の中で何度もチャンスがある」
東京理科大の大きな魅力の1つは、同じ大学の中で複数の方式・学科に出願しやすいことです。方式の役割を整理すると、次のようになります。
| 方式 | ざっくり言うと | 主な特徴 |
|---|---|---|
| B方式 | 本学独自試験(募集枠の王道) | 全学部で実施。基本は3教科300点(学科により傾斜配点あり) |
| A方式 | 共通テスト利用(4類型) | 4教科型/3教科型/2教科+英語資格検定型/理学部第二部型 |
| S方式 | 本学独自試験(創域理工の一部学科) | 400点。数理科学=数学300+英語100など、得意科目で勝負できる |
B方式を軸に据えつつ、A方式やS方式を重ねていくのが基本の戦い方です。たとえば「共通テストの仕上がりに自信があるならA方式も出す」「数学が飛び抜けて得意ならS方式(数理科学)も検討する」というように、自分の武器に合わせて入り口を増やせます。
併願のルールも押さえておきましょう。A方式の出願は、4教科型は1学科のみ/3教科型は2学科まで/2教科+英語資格検定型は昼間から2学科(系)までで、A方式の他の型・B方式・S方式とは併願できます。検定料は1学科19,000円/2学科38,000円です。同じ大学で複数回チャレンジしやすい設計だといえます。

同じ理科大の中で、いくつも出願できるんですね。チャンスが増えるのは心強いです。

そうなんです。B方式を本命にしつつ、A方式やS方式を重ねると、受験の機会を増やせます。ただし、出願し過ぎると検定料も日程も負担になります。「本命のB方式+無理のない範囲でA・S」と上限を決めて、得意科目で点が取れる方式を選ぶのがコツですよ。
早慶上理のなかでの位置づけ
東京理科大は「早慶上理」の一角です。ここでは、4校横断の細かな優劣には踏み込まず(それは別記事の比較記事で深掘りします)、理科大の立ち位置を「偏差値帯」と「入試の柱」の2点にしぼって押さえます。
| 観点 | 早稲田 | 慶應 | 上智 | 東京理科大 |
|---|---|---|---|---|
| 理工偏差値(2027) | 65.0〜67.5 | 65.0 | 57.5〜62.5 | 57.5〜62.5 |
| 入試の柱 | 独自試験のみ | 独自試験のみ | TEAP併用が主力 | B方式(独自)が王道+A方式(共テ)/S方式・英検は出願資格 |
ポイントは2つです。1つは、偏差値帯では理科大と上智がほぼ並ぶ(ともに57.5〜62.5)こと。早稲田・慶應はそこから一段上の65.0〜67.5で、理科大・上智より高い水準です。もう1つは、入試の柱がそれぞれ違うことです。早稲田・慶應の理系一般選抜では外部検定を基本的に使わず、独自試験のみで合否を決めます。上智はTEAPなど英語外部検定を入試に組み込む方式が主力です。そして理科大はB方式(独自試験)が王道で、A方式(共通テスト)やS方式、英検(出願資格型)も組み合わせられます。
つまり「偏差値が近いから同じ感覚で受けられる」とは限りません。同じ57.5〜62.5でも、理科大と上智では問われる科目も方式も違います。学費を含めた4校横断の細かな比較は、別記事の比較記事でくわしく扱います。
併願は3パターンで考える
以上をふまえると、東京理科大を軸にした併願は、おおまかに次の3パターンに整理できます。
- 上位の早慶も狙う人:理科大B方式を本命にしつつ、早稲田・慶應の理工も射程に入れます。独自試験中心の対策がそのまま活きるので、独自試験型でまとめて受けられます。理科大の中でもB方式+A方式を重ね、合格の機会を増やすとよいでしょう。
- 共通テストを活かしたい人:共通テストの仕上がりに自信があるなら、理科大A方式(共テ利用)を厚めに出します。同じ共通テストの結果でMARCHの共テ利用方式とも併願しやすく、1回の共通テストを複数校で使い回せます。ただしA方式の新方式(3教科型・2教科+英語資格検定型)は枠が小さく倍率が振れやすいので、B方式も必ず併願に入れておきましょう。
- 得意科目で勝負したい人:数学や物理が飛び抜けて得意なら、創域理工のS方式(数理科学=数学300点、電気電子情報工=物理200点など)が武器になります。得意科目の配点が大きい方式を選び、B方式・A方式と組み合わせると、自分の強みを最大化できます。
なお、併願は試験日が重ならなければ成立します。早慶上理・MARCHとの併願を考えるときは、各校の試験日を必ず確認し、無理のない日程を組みましょう。
併願先の中身は、MARCH理系を徹底比較や4工大を徹底比較でくわしく整理しています。早慶の理系を知りたい方は早稲田理系を徹底解説・慶應理系4学部を徹底解説、上智は上智理系・医療系を徹底解説もあわせてどうぞ。早慶上理 理系 完全比較では、早稲田・慶應・上智・東京理科大を横断で比べます。
※出典:偏差値は河合塾Kei-Net 2027年度予想(方式別ランク)/入試方式・併願ルール・検定料は東京理科大学 公式(取得日2026-06-22)。制度や配点は年度や方式で変わるため、出願前に最新の募集要項を必ずご確認ください。
学費・奨学金|理系初年度 約176〜182万・4年 約638万(薬6年は別水準)
進路を考えるうえで、ご家庭にとって学費は大きな関心事です。この章では、東京理科大の理系の学費と、押さえておきたい奨学金を、できるだけ具体的な実数で整理します。
理系(昼間)の初年度は約176〜182万円・4年で約638万円
東京理科大の理系(昼間)の初年度納付金は、学科によって差がありますが、おおむね約176〜182万円です。4年間の総額は、2年次以降の授業料・教育充実費が1年次と同額である点をもとに算出すると、学科によって少し変わります。代表的な学科は、次のとおりです。
| 学部・学科 | 初年度納付金(2026年度) | 4年(または6年)総額の目安 |
|---|---|---|
| 理学部 数学・応用数学 | 約175.5万円 | 約612万円 |
| 理学部 物理・科学コミュニケーション | 約180.5万円 | 約632万円 |
| 理学部 化学・応用化学 | 約182.0万円 | 約638万円 |
| 工学部(全学科) | 約182.0万円 | 約638万円 |
| 先進工学部(全学科) | 約182.0万円 | 約638万円 |
| 創域情報学部 情報理工 | 約182.0万円 | 約638万円 |
| 創域理工学部(大半の工学系学科) | 約182.0万円 | 約638万円 |
| 創域理工学部 数理科学 | 約175.5万円 | 約612万円 |
| 薬学部 薬学科(6年制) | 約246.5万円 | 約1,329万円(6年制) |
| 薬学部 生命創薬科学科(4年制) | 約202.0万円 | 約718万円 |
学費は東京理科大学 公式の2026年度入学・初年度納付金です。4年(6年)総額は、2年次以降の授業料・教育充実費が1年次と同額(長期履修を除く)であることをもとに算出しました。別途、共済会費・父母会費・校友会費などがかかります。
理系(昼間・4年制)の4年間の総額は、おおむね約612〜638万円です。多くの工学系・化学系学科が約638万円、数学・応用数学・数理科学のように授業料の区分が少し低い学科は約612万円です。早慶上理の理工系のなかで見ると、早稲田・上智の約720万円、慶應の約777万円とくらべて、むしろ抑えめの水準です。「早慶上理だから学費もいちばん高い」というわけではない、という点は安心材料の1つだと思います。
注意したいのが薬学部 薬学科です。薬学科は6年制のため、修業年限が長いぶん総額が大きく変わり、概算で約1,329万円になります。同じ薬学部でも、4年制の生命創薬科学科は約718万円です。「薬剤師をめざす6年制」と「4年制の生命創薬科学科」では、学費の総額がまったく違う点を、進路面談でもよく確認します。
なお、上記は入学金・授業料・教育充実費をもとにした概算です。これとは別に、卒業研究費や選択科目の実験実習費などがかかる場合があります。これらは学科や履修内容で個別に決まり、公式に定額表示がないため、金額はここでは断定しません。志望学科の最新の納付金は、必ず公式でご確認ください。
奨学金|入学前に申し込める「給付型」がある
学費を考えるときは、奨学金もセットで見ておきたいところです。東京理科大には、ご家庭の負担を実際に軽くしてくれる給付型の奨学金があります。とくに知っておきたいのは、次の3つです。
- 新生のいぶき奨学金(給付・入学前に申し込める予約型):合格・入学を前提に、入学前から申請できる給付型の奨学金です。返済不要で、給付額(年額)は薬学部80万円/理学部・工・創域理工・創域情報・先進工は60万円/経営学部は40万円。給付は標準修業年限(薬は6年)にわたって続きます。支給は約300名で、下宿生かつ世帯収入などの条件があります。入学前に申し込めるのが大きな特徴です。
- 乾坤の真理奨学金(BS)(給付・入試成績優秀者向け=実質の特待):入試の成績がとくに優秀だった人に、大学が給付する奨学金です。受験生が自分で応募するのではなく、大学が成績優秀者のなかから選んで採用します(合格発表時に通知)。いわば実質的な特待生の仕組みです。
- 国の高等教育修学支援新制度(対象校):東京理科大は、国の修学支援新制度の対象校です。授業料などの減免と給付型奨学金がセットになった制度で、多子世帯の無償化なども含まれます。
なお、これらの金額・人数・申込時期は年度によって変わりますので、最終的には必ず公式の奨学金ページで最新の情報をご確認ください。とくに「新生のいぶき奨学金」のような入学前に申し込む予約型は、締め切りが早いことがあります。志望が固まった段階で早めにチェックしておくと安心です。
学費は4年間(薬学科は6年間)にわたって続く負担です。学費そのものに加えて、自宅外通学なら家賃・生活費もかかります。奨学金や国の支援制度まで合わせて、ご家庭で早めに見積もっておくと、進学のハードルはぐっと下がります。
※出典:学費は東京理科大学 公式の2026年度入学・初年度納付金/奨学金は東京理科大学 公式の奨学金ページ(取得日2026-06-22)。学費・奨学金の金額・条件・募集人数・申込時期は年度で変わるため、詳細は必ず東京理科大学 公式で最新の情報をご確認ください。
大学院・進路・就職|院進率(昼間)65.1%・実就職率 全国1位
東京理科大を語るうえで外せないのが、卒業後の進路の強さです。「鍛えられて卒業する大学」だからこそ、就職や大学院でしっかり成果が出ています。この章では、学生がどんな進路を選んでいるのか、データで見ていきましょう。
大学院進学率|昼間理系は3人に2人が院へ
東京理科大の大学院進学率は、学部全体で55.1%です(2026年3月卒)。文系の経営学部を除いた昼間学部だけで見ると65.1%まで上がります。つまり、理系の学生はおよそ3人に2人が大学院へ進む計算です。
学部別の傾向もはっきりしています。研究色の濃い学部ほど、院進率が高くなる傾向があります。
| 学部 | 大学院進学率(2026年3月卒) |
|---|---|
| 工学部 | 70.5% |
| 先進工学部 | 70.2% |
| 理学部 | 64.7% |
| 創域理工学部 | 63.5% |
| 薬学部 | 49.0%(薬学科3.2%・生命創薬科学科90.3%) |
| 〔夜間〕理学部第二部 | 32.9% |
工学部・先進工学部は7割を超え、理学部・創域理工学部も6割台です。薬学部は、薬剤師をめざす薬学科(6年制)と、研究志向の生命創薬科学科(4年制)で進路がはっきり分かれます。薬学科は院進率が3.2%と低く、製薬企業・大学病院・公務員などへの就職が中心です。一方、生命創薬科学科は院進率が90.3%と非常に高く、大学院で創薬研究を続ける研究系のルートです。理系で「学部卒で終わり」ではなく、修士まで進んで専門を深めるのが、理科大では当たり前の進路だと言えます。
進路決定率(就職・進学を合わせた割合)は96.6%です。進学にせよ就職にせよ、卒業後の行き先がほぼ全員決まっている、という安心感のある数字です。

理系って、みんな大学院に行くものなんですか?

大学にもよりますが、理科大の昼間理系は65.1%、つまり3人に2人が院へ進みます。研究職や開発職を目指すなら修士は事実上のスタート地点になるので、進学を前提に4年間を設計する人が多いんですよ。学部選びの段階で「自分は研究をやりたいのか」を考えておくと、後悔が少なくなります。
実就職率は大規模大学で全国1位|なぜ就職に強いのか
東京理科大の就職力を象徴するのが、実就職率94.0%という数字です(2025年3月卒)。これは卒業生4,000人以上の大規模大学のなかで全国1位にあたります。
ただし、この「全国1位」の出どころは正しく押さえておきましょう。これは、大学通信という会社が集計した「実就職率ランキング」(実数ベース)による順位です。規模の大きい大学のなかで、実際に就職を希望した学生がどれだけ就職できたかを数字で比べたランキングで、東京理科大がその首位、という意味です。後の第12章で出てくる「研究力・教育力 私大1位」は進路指導の先生方へのアンケート調査による評価ですが、こちらの実就職率はアンケートではなく実数に基づくランキングです。両者は別物なので、混同しないでください。誇張ではなく、規模の大きな理系総合大学として、就職に強い大学だと理解しておけば十分です。
なぜここまで就職に強いのか。理由は2つに整理できます。1つは、第5章で見た関門制度(実力主義)で基礎学力が鍛えられること。もう1つは、昼間理系のおよそ3分の2が大学院まで進んで専門を深めることです。「鍛えられた基礎力」と「修士までの専門性」が、企業からの評価につながっていると考えられます。
主な就職先|IT・電機/半導体・自動車・建設・コンサル
実際の就職先を見ると、理系らしい顔ぶれが並びます。2025年3月卒・修了の主な就職先(人数の多い順)は次のとおりです。
| 分野 | 主な就職先(一例) |
|---|---|
| IT・情報通信 | NTTデータ/富士通/日本IBM/SCSK/NTTドコモ |
| 電機・半導体 | 日立/NEC/三菱電機/ソニーセミコンダクタ |
| 自動車・重工 | 本田技研工業/トヨタ自動車/三菱重工業 |
| コンサル・シンクタンク | アクセンチュア/野村総合研究所 |
| 建設 | 鹿島建設 |
業種別の割合(学部・2026年3月卒)で見ると、傾向がさらにはっきりします。最も多いのが情報通信業で34.7%、次いで製造業16.3%、金融・保険8.1%、サービス5.5%、建設4.4%、卸小売4.4%と続きます。
| 業種 | 割合(学部・2026年3月卒) |
|---|---|
| 情報通信業 | 34.7% |
| 製造業 | 16.3% |
| 金融・保険業 | 8.1% |
| サービス業 | 5.5% |
| 建設業 | 4.4% |
| 卸小売業 | 4.4% |
全体としては、IT・情報通信を中心に、電機・半導体、自動車、建設、コンサルティングまで幅広く広がっています。特定の業界に偏らず、理系の専門を活かせる進路が各方面に開けているのが特徴です。学部・学科によって強い業界は変わりますが、「理系の王道企業」に多くの卒業生を送り出している大学だと言えます。
※出典:東京理科大学 公式(データで見るTUS・院進率/業種別割合は2026年3月卒/実就職率 全国1位は大学通信2025年度調べ=大規模大学のなかでの順位)(取得日2026-06-22)。院進率・就職先は学部や年度で変わるため、出願前に最新のデータを必ずご確認ください。
研究力・教育力|「私大1位」の研究環境と公開講座
前の章では「学生の進路」を見ました。この章では視点を変えて、「大学そのものの環境」――研究力と教育力を見ていきます。東京理科大が長く理系で支持されてきた理由が、ここに表れています。
研究力・教育力ランキング|「私大1位」の正しい読み方
東京理科大は、研究力・教育力の評価で高い位置にあります。よく知られているのが次の2つです。
- 研究力が高い大学:私立大学で1位(2016年から10年連続)
- 教育力が高い大学:私立大学で1位(2020年から6年連続)
これは目を引く数字ですが、出どころを正しく理解しておくことが大切です。この2つのランキングは、いずれも大学通信という会社が、全国の高校の進路指導の先生方へ行ったアンケート調査に基づくものです。つまり「研究の成果そのものを直接測った絶対的な指標」ではなく、「進路指導の現場で、先生方が研究力・教育力をどう評価しているか」を集計したランキングだ、ということです。
とはいえ、毎年生徒の進路を見ている先生方からの評価で長年トップを保っている、という事実は重みがあります。現場の教員の一人として言えば、「理系を志す生徒に安心して勧められる大学」として広く認知されている、その裏づけだと受け止めています。
数字で見える研究力の指標もあります。科研費(国の研究費)の採択額は私立大学で6位、イギリスの教育専門誌による「THE 2025」の研究力評価では国内私立で3位です。2031年には創立150周年を迎える、長い歴史を持つ理系総合大学でもあります。アンケート評価だけでなく、こうした客観的な指標でも私立トップクラスにある、と立体的に押さえておくとよいでしょう。
高校生も学べる公開講座「理科大サイエンス講座」
受験前に「理科大の学びってどんなものだろう」と知りたい人に、ぜひ紹介したいのが理科大サイエンス講座です。高校生・中学生も参加できる公開講座で、受験前に理科大の研究や学びに触れられる、貴重な入口になっています。
この講座は、長年「坊っちゃん講座」として親しまれてきた前身を引き継ぐものです。坊っちゃん講座は2018年度に始まり、2026年3月までに全84回・累計約11,172名が参加してきました。2026年に大学内の組織が再編されたのにあわせて、名称が「理科大サイエンス講座」へと変わり、対面とオンラインを組み合わせた新しい形で続いています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 高校生・中学生・大学生・教職員・一般(中高生が主体) |
| 費用 | 無料(事前申込制) |
| 回数(2026年度) | 全7回・土曜15:00〜16:30 |
| 形式 | 神楽坂キャンパスで対面4回+オンライン(Zoomウェビナー)3回 |
2026年度は、社会や暮らしにつながる多彩なテーマが全7回そろっています。ラインナップ(2026年度の例)は次のとおりです。
| 回 | 日程/形式 | テーマ(登壇教員) |
|---|---|---|
| 第1回 | 7/11 対面 | 電池の現在・過去・未来(応用化学科 駒場慎一 教授) |
| 第2回 | 9/12 対面 | 建築の美を、計算する〜力学と数学はデザインツール(建築学科 伊藤拓海 教授) |
| 第3回 | 9/26 オンライン | 豪雨災害から人々を守る科学技術とは(社会基盤工学科 二瓶泰雄 教授) |
| 第4回 | 10/17 対面 | データから世界を読み解く—AI時代のデータサイエンス(ビジネスエコノミクス学科 野口怜 准教授) |
| 第5回 | 10/31 オンライン | 義足で歩く〜身体を支える技術とバイオメカニクス(機能デザイン工学科 保原浩明 准教授) |
| 第6回 | 11/7 対面 | 科学の目で見る漢方薬の作用(薬学科 礒濱洋一郎 教授) |
| 第7回 | 11/21 オンライン | デジタル生物学のすすめ(情報理工学科 諸橋賢吾 教授) |
電池や建築、豪雨災害、データサイエンス、義足、漢方薬、デジタル生物学と、理科大のさまざまな学部の研究に触れられる構成です。対面回では、講義の前にキャンパスツアー(定員あり)も用意されています。

大学の先生の本物の授業が、高校生でも無料で聞けるんですね。行ってみたくなりました。

いいですね。理科大サイエンス講座は、受験勉強の合間に「理科大の学びってこんな感じか」と肌で感じられる、またとない機会です。神楽坂での対面回ならキャンパスの雰囲気もわかりますし、オンライン回なら遠方からでも参加できます。志望理由を考えるヒントにもなるので、興味のあるテーマがあれば早めに申し込んでみてくださいね。
※出典:東京理科大学 公式(理科大サイエンス講座 2026年度案内ほか/研究力・教育力 私大1位は大学通信2025年度調べ=進路指導の先生方へのアンケート調査による評価)(取得日2026-06-22)。講座の日程・内容や各種ランキングは年度で変わるため、参加・出願前に最新の情報を必ずご確認ください。
キャンパス|理系は神楽坂・葛飾・野田の3キャンパス
東京理科大の理系は、1か所に固まっているのではなく、3つのキャンパスに分かれています。志望する学部によって学ぶ場所が変わるので、通学を考えるうえでも大事なポイントです。
理系の3キャンパスと学部の対応
理系の学部とキャンパスの対応は、次のようになっています。
| キャンパス | 主な学部(理系) | アクセス |
|---|---|---|
| 神楽坂 | 理学部/理学部第二部(夜間) | JR・東京メトロ・都営「飯田橋」徒歩5分 |
| 葛飾 | 工学部/薬学部/先進工学部 | JR・東京メトロ「金町」/京成「京成金町」徒歩8分 |
| 野田 | 創域理工学部/創域情報学部 | 東武アーバンパークライン「運河」徒歩5分 |
神楽坂キャンパスは大学の本部があり、文系の経営学部もここに置かれています。最寄りの「飯田橋」から徒歩5分の都心の立地で、理学部の学生が学ぶ場所です。葛飾キャンパスは2013年に開設された比較的新しい拠点で、「金町」から徒歩8分、工学部・薬学部・先進工学部が集まります。野田キャンパス(千葉県野田市)は「運河」から徒歩5分、広い敷地を持ち、創域理工学部と創域情報学部が学びます。
ここで知っておきたいのが、薬学部です。薬学部は2025年4月に、野田キャンパスから葛飾キャンパスへ移転しました(薬学部の60周年記念パンフレットに明記されています)。古い資料では野田と案内されている場合があるため、出願前には公式サイトで現在のキャンパスを確認しておくと安心です。

同じ理科大でも、学部によって通う場所が全然違うんですね。

そうなんです。理学部なら神楽坂、工学部・薬学部・先進工学部なら葛飾、創域理工・創域情報なら野田、と3つに分かれます。「理科大に行きたい」だけで決めず、「どの学部で、どこに通うのか」までセットで考えるのが大切です。自宅からの通学時間や下宿の必要性が変わってくるので、志望学部が固まったら、その学部のキャンパスへのアクセスを早めに調べておきましょうね。
キャンパスが分かれていることの意味
キャンパスが3つに分かれているのは、それぞれの学部が十分な施設・研究環境を持てる、という利点があります。一方で、他学部の友人と日常的に同じ場所で過ごす、という形にはなりにくい面もあります。
なお、理系の学部には「1年次だけ別のキャンパスで学ぶ」といった移動はありません(1年次だけ北海道の長万部キャンパスで学ぶのは、文系の経営学部 国際デザイン経営学科だけです)。理系の場合は、入学から卒業まで基本的に同じキャンパスで学ぶ、と考えておけば大丈夫です。志望学部のキャンパスが、4年間(薬学科は6年間)通う場所になります。
※出典:東京理科大学 公式(キャンパス・アクセスページ)(取得日2026-06-22)。所属キャンパスは学部の改編などで変わることがあるため、出願前に最新の情報を必ずご確認ください。
東京理科大の理系が向く人・向かない人
ここまで見てきたとおり、東京理科大は「実力主義」「研究力」「就職力」がそろった理系総合大学です。ただし、その特徴ゆえに、合う人と注意が必要な人がはっきり分かれます。自分の志向と照らし合わせてみましょう。
東京理科大が向く人
- 実力主義の環境で力をつけたい人:関門制度(原級留置)があり、基礎を確実に積み上げる学風です。「鍛えられて成長したい」という人には、これ以上ない環境です。
- 基礎をコツコツ積み上げられる人:理科大の学びは、数学・理科の基礎科目を地道に固めることが土台になります。日々の積み重ねを苦にしない人に向いています。
- 研究・大学院進学を考えている人:昼間理系の院進率は65.1%で、修士まで進んで専門を深めるのが標準的な進路です。研究職・開発職を目指す人にぴったりです。
- 就職力を重視する人:実就職率は大規模大学で全国1位(大学通信の実就職率ランキング=実数ベース)。IT・電機・自動車・建設・コンサルなど、理系の王道企業への進路が広く開けています。
注意が必要かもしれない人
- 受け身で単位を落としがちな人:関門制度では、基礎科目を落とすと他の単位を取っていても留年になります。自分で計画的に学習を進める姿勢がないと、苦しくなる場面があります。
- 基礎の積み上げより早く応用へ進みたい人:理科大はまず基礎を徹底するスタイルです。基礎を飛ばして先に進みたいタイプには、もどかしく感じることもあるかもしれません。
- 1つのキャンパスで文理が交わる環境を求める人:理系は神楽坂・葛飾・野田の3キャンパスに分かれます(第13章)。「いろいろな学部の友人と同じ場所で学びたい」という人は、この点を理解しておきましょう。
よくあるご質問(Q&A)
Q1. 東京理科大の理系学部はどれを選べばいいですか?
理系の主役は昼間6学部です。理学を深めたいなら理学部、ものづくり・建築なら工学部、先端的な工学なら先進工学部、幅広い理工分野から選びたいなら創域理工学部、情報系なら創域情報学部、薬学なら薬学部、というのが大まかな目安です。まずは「何を学びたいか」で系統を絞り、そのうえで偏差値や入試方式を見ていくのがおすすめです。学部ごとの違いは第4章でくわしく整理しています。
Q2. 理学部(第一部)と理学部第二部は何が違いますか?
理学部は昼間に学ぶ通常の学部で、河合塾2027年度予想の偏差値は60.0〜62.5です。理学部第二部は夜間に学ぶ学部で、数学・物理・化学の3学科があり、偏差値は42.5〜45.0(参考値)です。学費も第二部のほうが大きく抑えられています。ただし、第二部は留年率がやや高め(後述)で、働きながら学ぶなど相応の自己管理が求められます。本記事は昼間6学部を中心に解説しています。
Q3. 創域理工学部と創域情報学部の違いは何ですか?
創域理工学部(旧・理工学部、2023年に改称)は、数理科学・物理・生命・建築・化学・電気電子情報・機械航空宇宙・社会基盤と、理工系の幅広い8学科を持つ総合的な学部です。一方、創域情報学部(2026年新設)は情報理工学科を擁する、情報分野に特化した新しい学部です。どちらも野田キャンパスで学びます。「幅広い理工分野から選びたい」なら創域理工、「情報に絞りたい」なら創域情報、と考えるとわかりやすいです。
Q4. 工学部・先進工学部・創域理工学部の違いは何ですか?
工学部(葛飾)は建築・工業化学・電気・情報・機械と、実用的なものづくりの王道学科がそろいます。先進工学部(旧・基礎工学部、2021年改称・葛飾)は、電子システム・マテリアル創成・生命システム・物理工・機能デザインなど、先端的・学際的なテーマを扱います。創域理工学部(野田)は、理学に近い分野から社会基盤まで含む幅広い8学科の総合学部です。キャンパスも工・先進工=葛飾、創域理工=野田と分かれるので、学ぶ場所も判断材料になります。
Q5. 関門制度で本当に留年しますか?
関門制度(原級留置)は実在する仕組みで、基礎科目で規定の単位を落とすと、他の科目を取得していても進級できません。ただし、留年率(2024年・学士)は全体で6.2%です。多くの学生は基礎をきちんと固めて進級しています。日々の学習をコツコツ積み上げ、基礎科目を後回しにしなければ、過度に恐れる必要はありません。詳しくは第5章をご覧ください。
Q6. 東京理科大は「入ってから厳しい」と聞きますが本当ですか?
偏差値・就職・研究力いずれも私大トップクラスの難関です。基礎を重視し、関門制度で確実な学力を求める、という意味では「易しくはない」のは事実です。学部別の留年率(2024年)は、理学部6.8%・工学部7.2%・創域理工5.3%・先進工4.2%・薬3.1%で、夜間の理学部第二部だけが14.4%と突出しています。ただ、これは裏を返せば「鍛えられて卒業できる」ということ。実就職率の高さや院進率の高さは、この学風の成果でもあります。不安をあおる話ではなく、「入学後のミスマッチを防ぐ前提」として知っておきましょう。
Q7. A方式・B方式・S方式はどれを使うべきですか?
B方式(本学独自試験)が募集枠の王道で、多くの受験生の中心になります。A方式(共通テスト利用)は共通テストの得点で判定する方式で、4教科型・3教科型・2教科+英語資格検定型などの類型があります。S方式は創域理工学部の一部学科で実施される独自試験です。基本はB方式を軸に、共通テストの仕上がりに応じてA方式を組み合わせるのが現実的です。なお、かつてのC方式・グローバル方式は2026年度から廃止されています。
Q8. 英検は必須ですか?CSE1950はいつまでに取るべきですか?
英検は全員に必須ではありません。英語の外部検定を使うのは、A方式の「2教科+英語資格検定」型に出願する場合です。この方式では、英検ならCSE1950以上が出願資格になります(級ではなくCSEスコアで判定します)。重要なのは、これは出願の資格であって、スコアに応じた加点ではない点です。基準を満たせば出願でき、合否は共通テストの得点で決まります。スコアは2025年4月1日以降に受験したものが対象なので、この方式を考えるなら、高校生のうちに早めにCSE1950以上を確保しておくと、本番は得点勝負に集中できます。英検の取り方は理系の英検もあわせてご覧ください。
Q9. 東京理科大の併願は何校まで?試験日は重なりませんか?
理科大は同じ大学の中で複数の方式・学科に出願しやすいのが特徴です。A方式の出願は、4教科型は1学科のみ、3教科型は2学科まで、2教科+英語資格検定型は昼間から2学科(系)までで、A方式の他の型・B方式・S方式とは併願できます。検定料は1学科19,000円・2学科38,000円です。B方式を本命に、A方式やS方式を重ねて受験機会を増やすのが基本の戦い方になります。なお、併願が成立するかどうかは試験日次第です。同じ大学内の各方式や、早慶上理・MARCHなどの併願校とは、試験日が重ならなければ併願できます。出願前に各校・各方式の試験日を必ず確認し、無理のない日程を組みましょう。
Q10. 薬学科(6年制)と生命創薬科学科(4年制)はどう違いますか?
薬学科は6年制で、卒業すると薬剤師国家試験の受験資格が得られます。薬剤師として働きたい人の課程です。生命創薬科学科は4年制で、創薬研究や生命科学を学ぶ、研究者・開発者志向の課程です(薬剤師資格は取得できません)。学費も大きく異なり、薬学科(6年制)は初年度約246.5万円・6年総額で約1,329万円と、理系のなかでも別水準です。院進率も、薬学科3.2%・生命創薬科学科90.3%と対照的です。どちらも現在は葛飾キャンパスで学びます。
Q11. 就職は本当に強いですか?大学院進学は必要ですか?
就職力は高く、実就職率94.0%は大規模大学のなかで全国1位です(大学通信の実就職率ランキング=実数ベース)。ただし、昼間理系では院進率が65.1%と高く、研究職・開発職を目指すなら大学院進学が事実上の前提になる分野も多くあります。学部卒で就職する道もしっかりありますが、「専門を深めて研究・開発に進みたい」なら、大学院まで視野に入れて学部を選ぶのがおすすめです。
Q12. 早慶・上智・MARCHとの違いは何ですか?
偏差値の帯では、東京理科大の理系(昼間)は57.5〜62.5で、上智の理工(57.5〜62.5)と並ぶ水準です。早稲田(65.0〜67.5)・慶應(65.0)はそれより上の帯になります。入試の柱は、早慶が独自試験のみ、上智はTEAP併用が主力、東京理科大はB方式(独自)が王道でA方式(共テ)・S方式・英検は出願資格、という違いがあります。さらに東京理科大は、実力主義・関門制度、研究力・教育力 私大1位(大学通信の進路指導教諭アンケート調査による評価)、実就職率 全国1位(大学通信の実就職率ランキング=実数ベース)という個性で差別化されます。くわしくは早慶上理 理系 完全比較で横断的に整理しています。MARCH理系を徹底比較もあわせてご覧ください。
Q13. 創域情報学部の「C系・D系」は、廃止された「C方式」とは違うのですか?
はい、まったくの別物です。「C方式」は、かつて全学で実施され、2026年度から廃止された入試方式の名前です。一方の「C系・D系」は、創域情報学部 情報理工学科の入試における受験系統(学科内のグループ分け)の名前で、現行のA方式・B方式の中で「C系」「D系」として募集されています。2026年度入試のB方式では、情報理工C系の実質倍率が4.6倍、D系が2.5倍でした。名前のアルファベットが似ているだけで、「廃止された方式」とは無関係なので、混同しないようにしてください。
Q14. 経営学部の国際デザイン経営学科は理系ですか?
理系とは言いにくい学科です。国際デザイン経営学科は、東京理科大学の学部(経営学部)の学科ではありますが、入試・カリキュラムは文系の枠組みで、1年次は北海道の長万部キャンパスで学びます。理系の数学・理科を中核に据えた学科ではないため、本記事の理系解説からは除外しています。理科大の学部のひとつではあるものの、「理系を学ぶ学科」を探している方の選択肢には入らない、と整理しておいてください。
Q15. 総合型選抜や学校推薦型はありますか?
あります。一般選抜(B方式・A方式・S方式)が募集の中心ですが、年内に出願する入試(いわゆる「年内入試」)として、総合型選抜と学校推薦型選抜も実施されています。総合型選抜は3種類で、①英語資格検定+特定教科の評価による選抜、②理学部第二部、③女子を対象とする工学系の選抜(工学部・創域理工の工学系学科・創域情報・先進工など)があります。出願資格として、数学・理科の評定平均が各4.0以上などの条件が設けられています。学校推薦型は指定校制が中心です。具体的な日程や条件は年度で変わるため、詳細は必ず最新の募集要項でご確認ください。
まとめ|東京理科大の理系は「実力主義 × 高い研究力 × 多様な方式 × 就職力」で選ぶ
東京理科大の理系は、昼間6学部(理学部・工学部・薬学部・創域理工学部・創域情報学部・先進工学部)に、夜間の理学部第二部を加えた構成です。河合塾2027年度予想の偏差値は、昼間理系で57.5〜62.5の帯に収まり、最上位62.5は理学部・工学部です。1881年創立、「理学の普及を以て国運発展の基礎とする」という建学の精神を持つ、私学随一の規模を誇る理系総合大学です。
最大の特色は、実力主義・関門制度(原級留置)です。基礎科目を落とすと進級できない仕組みで、「入ってからが本番」と言われます。ただし学士全体の留年率は6.2%で、過度に恐れる必要はありません。基礎をコツコツ積み上げられる人にとっては、確かな学力が身につく環境です。
入試は、B方式(本学独自試験)が募集枠の王道で、A方式(共通テスト利用・4教科型/3教科型/2教科+英語資格検定型など)、S方式(創域理工の一部)が加わります。英語の外部検定は、A方式の一部で使う「出願資格」(英検はCSE1950以上)であり、スコアに応じた加点ではない点が、早稲田・慶應の理系一般選抜(外部検定を基本的に使わない)や上智(TEAPなど英語外部検定を入試に組み込む方式がある)との違いです。
学費は、理系(昼間)の初年度が約176〜182万円、4年総額で約638万円(学科による)が目安です。6年制の薬学科は初年度約246.5万円・6年総額で約1,329万円と別水準になります。学部によって学ぶキャンパスが変わり、理学部は神楽坂、工学部・薬学部・先進工学部は葛飾、創域理工学部・創域情報学部は野田の3キャンパスに分かれます。
進路の強さも見逃せません。昼間理系の大学院進学率は65.1%、進路決定率は96.6%。実就職率94.0%は、大規模大学のなかで全国1位です(大学通信の実就職率ランキング=実数ベース)。IT・電機/半導体・自動車・建設・コンサルと、理系の王道企業へ幅広く卒業生を送り出しています。研究力・教育力でも、私立大学トップクラスの高い評価を長年保っています(こちらは大学通信の進路指導教諭アンケート調査による評価)。
総じて、東京理科大の理系は「実力主義 × 高い研究力 × 多様な方式 × 就職力」で選ぶ大学です。楽な道ではありませんが、基礎を地道に固め、研究や就職で結果を出したい人にとっては、これほど力のつく環境はそうありません。受験前に学びの雰囲気を知りたい人は、第12章で紹介した理科大サイエンス講座をのぞいてみるのもおすすめです。進路面談でも、「鍛えられて伸びたい理系の生徒」に自信を持って勧められる大学です。
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【記事内データの注記】
偏差値=河合塾Kei-Net 2027年度予想(方式別ランク・取得2026-06-22)。倍率=2026年度入試結果(実質倍率=受験者÷合格者・東京理科大学 公式)。学部構成・入試方式・配点・英語外部検定(英検CSE1950以上=出願資格・加点ではない)・キャンパス・院進率(昼間65.1%/全体55.1%・2026年3月卒)・進路決定率96.6%・主な就職先・業種別割合・理科大サイエンス講座(旧・坊っちゃん講座/2026年に名称変更・本文の回ごとのテーマは2026年度の例)・沿革・規模=いずれも東京理科大学 公式(取得2026-06-22)。学費は学科別の実数で、工・先進工・創域情報・創域理工(大半)など 約638万円(4年)/薬学科(6年)約1,329万円(東京理科大学 公式 2026年度・授業料等は2年次以降1年次と同額として算出)。
本記事で使った大学通信の2つの指標は、出典の性質が異なります(混同しないでください)。
・実就職率94.0%=全国1位は、大学通信が集計した「実就職率ランキング」(実数ベース)による順位です(卒業生4,000人以上の大規模大学のなかでの順位・2025年3月卒・大学通信2025年度調べ)。実際に就職した学生の数に基づくランキングで、アンケートではありません。
・研究力 私大1位(2016年から10年連続)・教育力 私大1位(2020年から6年連続)は、大学通信が進路指導教諭などへ行ったアンケート調査による評価です(大学通信2025年度調べ)。研究成果そのものを直接測った絶対指標ではなく、進路指導の現場の先生方による評価です。
客観指標としては、科研費 私大6位・THE2025研究力 国内私立3位もあります。薬学部は2025年4月に野田キャンパスから葛飾キャンパスへ移転(薬学部60周年記念パンフレットに明記)。これらの数値・制度は年度や方式で変わるため、出願前に最新の募集要項・公式情報を必ずご確認ください。





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