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夏休み前に三者面談があるんです…。志望校もまだ固まっていないのに、何を聞かれるんだろうって、ちょっと憂うつで。

親のほうこそ緊張します。学費のことも聞かれるのかしら。私は何を準備して、どこまで話せばいいんでしょうか。

大丈夫ですよ。三者面談は成績を評価される「査定の場」ではなく、担任と一緒に受験の作戦を立てる「作戦会議」です。私は担任として毎年たくさんの三者面談をしてきましたが、準備してきてくれた生徒ほど、こちらも本気の提案ができます。この記事では、面談で聞かれること、本人と保護者それぞれの準備、当日聞くべき質問まで、担任の側から具体的にお話しします。
この記事でわかること
- 高3夏の三者面談で聞かれることと、志望校が決まっていないときの答え方
- 本人がやるべき3つの準備(志望校の科目・配点/年内入試の絞り方/勉強計画と模試)
- 保護者がやるべき3つの準備(本人の希望の理解/お金の境界線/NG行動の確認)
- 面談当日に担任へ聞くとよい質問と、面談後のスケジュール
※入試制度や金額などの情報は変わります。出願前には各大学公式の最新の募集要項を必ずご確認ください。
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- はじめに|高3夏の三者面談は受験を左右する「作戦会議」
- 夏の三者面談で決めること|科目を固めて「夏の勉強計画」へ
- 高3の三者面談でよく聞かれること|決まっていなくても大丈夫
- 面談前の準備チェックリスト【早見表】
- 本人の準備①|第1〜第3志望の受験方式・科目・配点をまとめる
- 本人の準備②|年内入試は「仕上げられる校数」で考える
- 本人の準備③|夏の勉強計画と模試の結果を用意する
- 保護者の準備①|子どもの希望を「本人の言葉」で聞いておく
- 保護者の準備②|お金の境界線を決めておく
- 保護者の準備③|面談でやらないほうがいいこと
- 面談当日に担任へ聞くとよい質問リスト
- 面談後にやること|夏から出願までのスケジュール
- よくあるご質問(FAQ)
- まとめ|準備した分だけ、面談から持ち帰れる
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はじめに|高3夏の三者面談は受験を左右する「作戦会議」
高校3年生の7月。多くの高校で、夏休み前の三者面談が行われます。
「何を聞かれるんだろう」「志望校が決まっていないと怒られるかな」「親はお金の話までするの?」——生徒からも保護者からも、毎年同じ不安を聞きます。
先に、担任としての結論をお伝えします。三者面談は、あなたを評価する場ではありません。担任と本人と保護者の3人で、受験の作戦を立てる会議です。
そして会議である以上、準備の質がそのまま結果の質になります。準備ゼロで座った30分と、志望校のメモ1枚を持って座った30分では、持ち帰れるものがまったく違います。これは面談をする側の実感として、断言できます。
この記事では、担任の側から見た「こう準備してきてくれると、こちらも全力で応えられる」というポイントを、本人向け・保護者向けに分けて具体的に紹介します。本人の準備は5〜7章、保護者の準備は8〜10章です。時間がない方は、4章の早見表と、13章のFAQだけでも読んでみてください。
夏の三者面談で決めること|科目を固めて「夏の勉強計画」へ
まず、担任が夏の面談で何をしようとしているのかをお話しします。ここが分かると、準備すべきものが自然と見えてきます。
なぜ夏休みの直前に面談があるのか
夏休みは、高3の1年間でいちばんまとまった勉強時間が取れる、学力がもっとも伸びる期間です。この夏を行き当たりばったりで過ごすか、計画的に使い切るかで、秋の伸びは大きく変わります。
夏の三者面談が夏休みの直前に設定されているのは、まさにこのためです。担任のゴールは、受験科目を元に、夏の勉強計画を立てること。面談で決めたいことは、その土台になる3つです。
- 受験の方向性:国公立中心か、私立中心か。一般入試か、年内入試(総合型・推薦)も使うか
- 受験科目:どの科目で戦うか。理科は1科目か2科目か
- 家庭の条件の共有:通える範囲か、学費の許容範囲はどこまでか
この中で、計画の土台として最初に固めたいのが受験科目です。科目が決まらないと、夏に何をどれだけ勉強するかの計画が立てられないからです。そして夏以降に受験科目が変わったり増えたりすると、それまでの時間配分が崩れてしまいます。たとえば「秋から理科をもう1科目追加する」のは、現実的にはかなり苦しい選択です。
同じ理由で、国公立中心から私立中心へ大きく切り替える場合も、基本的には夏の段階で方向性を決めておきたいところです。もちろん事情によって例外はありますが、科目数が大きく変わる決断は遅くなるほど学習負担が増えます。
逆に言えば、夏に科目と方向を固めて計画的に走り出せれば、あとの微調整はいくらでもききます。
面談の基本路線は4ステップ|この記事の準備はここに対応
私が面談を進めるときの基本路線は、次の4ステップです。
- 第1〜第3志望で、受験の方向性を確認する
- 受験科目と配点を確認する
- 勉強計画を確認する(進め方が志望校と合っているか)
- 模試の分析で裏付けを取る(今の位置と伸びしろの確認)
お気づきでしょうか。この記事で紹介する本人の準備①②③(5〜7章)は、この4ステップにそのまま対応しています。つまり、担任が面談で確認したい順番に沿って準備しておけば、面談の中身は自然と濃くなるのです。
担任の本音|準備してくる生徒には、提案の質が上がる
もうひとつ、面談をする側の本音をお話しします。
生徒が志望校の科目や配点までまとめてきてくれると、担任は「その配点なら、この大学も相性がいいから追加で考えてみたら」という一歩踏み込んだ提案ができます。準備がないと、面談の30分は「志望校、どうする?」の確認だけで終わってしまいます。

先生側も、材料がないと提案できないってことか。面談って、こっちが「出す」場でもあるんだね。

その通りです。担任は、あなたの持ってきた材料が多いほど本気を出せます。遠慮せず、どんどん持ち込んでください。
高3の三者面談でよく聞かれること|決まっていなくても大丈夫
「で、結局何を聞かれるの?」にお答えします。学校や担任によって差はありますが、高3夏なら、ほぼ確実に次のことを聞かれます。
よく聞かれる6つの質問
| 聞かれること | ねらい | 準備する章 |
|---|---|---|
| 志望校はどこか(第1〜第3志望) | 受験の方向性の確認 | 5章 |
| その大学・学部を選んだ理由 | 本気度と系統の確認 | 5章 |
| 一般入試か、年内入試(総合型・推薦)か | 受験方式の確認 | 6章 |
| 夏休みに何をどう勉強するか | 勉強計画の確認 | 7章 |
| 家庭の条件(通学範囲・学費など) | 出願プランの前提確認 | 9章 |
| 本人と保護者の意見は一致しているか | 作戦の土台の確認 | 8章 |
質問の中身は、2章でお話しした「基本路線4ステップ」そのものです。だから、この記事の順番で準備しておけば、聞かれることには一通り答えられるようになっています。
まだ決まっていないときの「答え方の型」
「志望校がまだ決まっていません」——これで怒られることは、まずありません。高3の夏で志望校が固まっていない生徒は、実際たくさんいます。
ただし、答え方にはコツがあります。大学名が決まっていなくても、「系統」と「使う科目」で答えるのです。
「大学名まではまだ決めきれていませんが、情報系を中心に考えています。数学は数Ⅲまで、理科は化学で考えています。得意科目は英語なので、もう1つ伸ばすなら化学です」
ここまで言えれば、面談としては十分すぎるくらいです。担任目線で知りたいのは、実はこの3つだからです。
- 数学は、数Ⅰ・Ⅱ・A・B・Cまでか、数Ⅲまで使えるか
- 理科は、1科目か2科目か
- 2科目なら、得意な理科はどれか
系統とこの3点が伝われば、担任は「それなら、このあたりの大学が合いそう」と、具体的な大学名を挙げて手伝えます。逆に「分かりません」だけだと、担任も手がかりゼロから始めることになります。
系統と科目の整理のしかたは、次の5章で詳しく解説します。
面談前の準備チェックリスト【早見表】
ここからの準備を、まず1枚にまとめます。詳しいやり方は、このあと順番に解説していきますので、まずは全体像をつかんでください。

| 誰が | 準備すること | 詳しくは |
|---|---|---|
| 本人 | 第1〜第3志望の受験方式・科目・配点をまとめる | 5章 |
| 本人 | 年内入試を受けるなら「仕上げられる校数」に絞る | 6章 |
| 本人 | 夏休みの勉強計画を立てる(仮でOK) | 7章 |
| 保護者 | 子どもの希望と将来像を「本人の言葉」で聞いておく | 8章 |
| 保護者 | お金の境界線を家庭のルールとして決めておく | 9章 |
| 保護者 | 面談でのNG行動を確認しておく | 10章 |
当日の持ち物:模試の成績表(校内実施分+校外で受けた分)/志望校整理メモ/夏の勉強計画。この3点があれば十分です。
本人の準備①|第1〜第3志望の受験方式・科目・配点をまとめる
本人の準備で最優先はこれです。面談の質が一番変わるところなので、少し丁寧にいきます。
理系は「大学名」より先に、科目・配点・理科の科目数を見る
理系受験には、文系とは違う大事なポイントがあります。同じ大学・同じ学部でも、方式によって使う科目と配点が大きく違うことです。
チェックすべきは、この4つです。
- 理科は1科目か2科目か:ここで負担が倍近く変わります。国公立と私立の併願設計にも直結します。なお、看護医療系などでは理科基礎で受験できる大学もあります
- 数学の範囲:数Ⅲまで必要か、数Ⅰ・Ⅱ・A・B・Cまでで受けられるか。看護医療系では数Ⅰ・Aのみで受けられる大学もあります
- 英語外部検定(英検など)の扱い:使える方式なら、換算や加点で大きな武器になります
- 学科名と入試科目のズレ:似た名前の学科でも、大学によって必要な理科の科目が違うことがあります
つまり理系では、「どの大学に行きたいか」と同じくらい「どの科目で戦うか」が大事なのです。大学名だけのリストではなく、科目・配点まで書いたリストを作りましょう。
なぜ「配点」まで必要なのか|担任の提案材料になる
科目だけでなく配点まで調べてほしい理由は、シンプルです。配点はあなたの武器と相性を映す鏡だからです。
たとえば数学が得意なら、数学の配点が高い方式のほうが有利に戦えます。そして担任側から見ると、配点まで分かっている生徒には「その配点の傾向なら、こういう大学も向いているよ」と受験校の追加提案がしやすくなります。
面談で担任の知恵を最大限引き出すための、いちばんの近道が配点調べです。
志望校整理シートの書き方|この1枚を面談に持っていく
まとめ方は、次のような表が一番シンプルです。

| 志望 | 大学・学部・学科 | 方式 | 科目 | 配点の特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 第1志望 | ◯◯大学 工学部 情報系学科 | 一般(個別) | 英・数(Ⅲ含む)・物 | 数学の配点が高い |
| 第2志望 | △△大学 理工学部 | 一般(全学部) | 英・数・理1科目 | 3教科均等 |
| 第3志望 | □□大学 工学部 | 共テ利用 | 共テ5教科 | 共テだけで出願可 |
ポイントは、第1〜第3志望まで、一般入試の科目と配点を必ず埋めることです。年内入試を考えている人も、一般入試の設計は必ず並行して作ってください(理由は6章でお話しします)。
志望が固まっていない人の「最低ライン」
まだ大学名まで絞れていない人は、ここまでできれば合格点です。
- 志望系統ごとに、いまの第一候補を1つ挙げる(例:情報系なら◯◯大学、建築系なら△△大学)
- その候補の一般入試の科目・配点を調べる
系統の第一候補さえ調べてあれば、担任は「その系統なら、ほかにこんな大学もある」と広げられます。白紙で来るのと、系統別に1校ずつ調べてあるのとでは、面談の中身がまるで違ってきます。
志望校・系統の絞り方そのものに迷っている人は、志望校選びの完全ガイドで7つの軸を解説しています。
調べ方|大学公式の要項が正解。パンフは面談前に揃える
科目・配点の正しい情報源は、大学公式の入試要項(募集要項)です。まとめサイトの情報は古いことがあるので、最後は必ず公式で確かめてください。河合塾のKei-Netも、偏差値や方式を横断的に見るのに役立ちます。
そして、面談前にやっておくと役立つのが、候補校のパンフレット・資料を取り寄せておくことです。パンフには学科の学び・キャンパス・入試方式がまとまっているので、志望校整理シートを作る助けになります。取り寄せは無料のものが多く、届くまで数日かかるので、面談の1〜2週間前に頼んでおくのがおすすめです。
4工大やMARCH理系を候補にしている人は、4工大徹底比較で科目・配点の傾向を先に押さえておくと、シート作りが速くなります。
本人の準備②|年内入試は「仕上げられる校数」で考える
総合型選抜や公募推薦——いわゆる年内入試を考えている人に、担任としてどうしても伝えたいことがあります。
「出せる校数」で考えると、1校ごとの仕上がりが薄くなる
いま、年内入試はまったく特別なルートではありません。文部科学省の調査では、私立大学の入学者の61.6%が総合型選抜・学校推薦型選抜、つまり年内入試で入学しています(令和7年度)。
ただし、2つ注意があります。まず、この数字は「年内入試が一般化している」ことを示すものであって、「出願校を増やせば合格しやすくなる」ことを示すデータではありません。そしてこれは文系を含む全体の値です。理系はもともと年内入試の枠が小さめで、同じ文部科学省の調査(令和5年度・募集人員ベース)では、総合型・学校推薦型の割合は理学系で約27%、工学系で約31%と、大学全体(約40%)より低くなっています。理系では、今も一般選抜が主戦場なのです。なお、61.6%は入学者ベース、理学・工学の値は募集人員ベースの統計なので単純には比べられませんが、「理系は年内入試の枠が全体より小さめ」という傾向として押さえてください。
その前提のうえで。総合型に特化した塾・予備校の中には、一般入試のように「5校、6校、7校と併願できる大学へ出願する」戦略を勧めるところもあります。
でも、担任として現場で見てきた実感を、正直にお伝えします。年内入試は、1校仕上げるのに想像以上の時間がかかります。志望理由書を書き上げ、面接で語れるレベルまで練り込み、小論文の対策をする——これを高3の秋、一般入試の勉強と並行してやるのです。
出願校を増やすほど1校あたりの仕上がりは薄くなります。そして一定レベル以上の大学では、仕上がりの薄い書類や面接は簡単に見抜かれます。結果として、どれも仕上がらないまま全部落ちてしまう——そういうケースを、実際に何度も見てきました。
だから、合言葉はこれです。「出せる校数」ではなく「仕上げられる校数」で考える。原則2校、広げても3校まで。
そもそも出願できる?面談前に確認したい条件
年内入試を考えている人は、面談前に次の条件を確認しておくと話が速いです。
- 評定平均:自分で計算した上で、出願基準を満たすか確認(計算が合っているかは面談で担任に確認できます)
- 欠席日数:基準がある大学・学部があります
- 専願か併願可か:合格したら必ず入学する約束か
- 出願書類の量:志望理由書・活動報告書など、何をどれだけ書くか
- 締切:志望理由書の提出はいつか(想像より早いです)
- 試験日・合格発表日・入学手続締切日:併願する場合はここが最重要です。発表日と手続締切の前後関係で、併願できるか・入学金を二重に払う可能性があるかが決まります(お金の話は9章へ)
- 試験内容:面接・小論文・プレゼンの有無。理系では、学力試験や口頭試問を課す大学も一定数あります
- 一般入試との両立:対策時間を取っても、一般の勉強が回るか
評定平均や欠席日数、校内選考の時期など、学校側で確認すべき情報は担任が把握しています。一方、大学ごとの出願条件や日程は、必ず大学公式の最新要項で確認してください。
そして理系ならではの大事な話をもうひとつ。理系の年内入試は、学力試験や口頭試問で学力そのものを見る大学が一定数あります。つまり、年内入試に出す人こそ、一般選抜に向けた学習を止めてはいけません。この学習は、年内入試の合否にも、合格後の大学の授業にも、そのまま効いてきます。
例外もある|広げてよいのはこんなケース
「原則2校・最大3校」には例外もあります。
- 同一系統で、志望理由書の軸が共通して使えるケース:書類の負担が実質1.5校分で済むような場合
- 併願可能な総合型で、準備の負担が小さいケース:近年は併願できる総合型も増えており、第2志望までを年内で押さえる戦略は十分ありえます
大事なのは校数の数字そのものではなく、どの1校も「仕上がった状態」で試験日を迎えられるかです。そこさえ守れれば、あなたの状況に合わせて戦略は柔軟に組めます。
英検などの英語外部検定を年内入試で活かしたい人は、MARCH理系の推薦×英検・4工大の推薦×英検も参考にしてください。
※出典:文部科学省「令和7年度国公私立大学・短期大学入学者選抜実施状況の概要」「令和5年度大学入学者選抜の実態の把握及び分析等に関する調査研究」(取得日2026-07-04)。制度・数値は変わるため、出願前に各大学公式の最新要項を確認してください。
本人の準備③|夏の勉強計画と模試の結果を用意する
3つ目の準備は、勉強計画と模試です。ここは「完璧」を目指さなくて大丈夫。持っていくことに意味があります。
勉強計画は「仮」でいい。持っていくことに価値がある
夏休みの勉強計画を、ざっくりでいいので立てて面談に持っていきましょう。
「まだ計画に自信がないから、見せるのは恥ずかしい」——そう思うかもしれません。でも実は逆です。計画は仮のままでいいから、担任に見せてチェックしてもらうのが正解です。
2章でお話しした通り、夏休みは学力がもっとも伸びる期間で、担任のゴールは「受験科目を元に夏の勉強計画を立てること」です。あなたがたたき台を持ってきてくれれば、担任は志望校の科目・配点と突き合わせて、「数学にもう少し寄せよう」「理科はこの分野を先に」と一緒に調整できます。自分ひとりで完璧な計画を作るより、ずっと早く正確です。
校外で受けた模試の結果も持っていく
意外と知られていませんが、担任が把握しているのは、学校で実施した模試の結果だけです。
河合塾の全統模試や駿台模試などを自分で申し込んで受けた人は、その成績表もぜひ面談に持ってきてください。判断材料が増えるほど、担任の分析と提案は正確になります。
担任は模試のここを見ている|E判定でも終わりではない
模試の結果を持っていくと聞いて、「E判定ばかりだから見せたくない…」と思った人へ。担任が模試のどこを見ているかをお話しします。

えっ、E判定でも怒られないんですか?夏の時点でEって、もう無理なのかと思ってました…。

怒りませんし、諦めもしません。夏のE判定は「終わり」ではなく「現在地」です。私たちが見ているのは判定の記号ではなく、D判定までの距離があとどれくらいかなんですよ。
担任が夏の模試で見ているのは、主に2つです。
- 志望校のD判定ラインまでの距離:E判定でも、あと何点でDに届くかで意味がまったく違います。距離が測れれば、作戦が立ちます
- 科目ごとの得意分野・苦手分野:どの科目のどの分野で点を落としているか
特に夏は、まとまった時間が取れるぶん、苦手分野を固めることが点数の伸びを最大化する近道になります。模試の結果は、その「どこを固めるか」を決める最高の材料なのです。
模試分析のくわしいやり方(帳票のどこを見るか、分野別の潰し方)は、それだけで1本の記事になるボリュームなので、後日別の記事でじっくり解説する予定です。
保護者の準備①|子どもの希望を「本人の言葉」で聞いておく
ここからは、保護者の方に向けてお話しします。まず一番大事な準備からです。
高3の受験は、本人の意志で走りきるもの
大前提として、大学受験は本人が主役です。高3にもなると、生徒はかなり自分の考えを持っています。そして正直に言えば、「保護者の希望を叶えるため」の勉強は、高3の受験勉強のモチベーションとしては続きません。
だからこそ、面談の前にご家庭でやっていただきたいのは、お子さん自身がどんな受験を望み、どんな将来を描いているのかを、本人の口から聞いておくことです。保護者の推測や希望ではなく、「本人の言葉」で、です。
面談で担任が本人に聞いたとき、保護者の方が初めて聞く話が出てくる——これは実は、よくある光景です。それ自体を責めるつもりはまったくありません。ただ、事前に一度聞けていると、面談は「確認の場」から「作戦を練る場」へ一段深くなります。
親子で意見が違うとき|面談で初めてぶつけない
本人と保護者の希望が違うことは、珍しくありません。最近特に増えているのは、本人は一般入試を軸にじっくり挑戦したいのに、保護者の方が「早く安心したいから、年内入試で決めてほしい」と勧めてしまうケースです。気持ちはとてもよく分かります。ただ、本人にとっては「挑戦を信じてもらえていない」と映ることがあり、勉強のモチベーションを下げてしまう場面を何度も見てきました。もちろん逆に、本人は総合型に挑戦したい、親は一般で勝負してほしい、というパターンもあります。
お願いしたいのは、ひとつだけです。面談の場は、親子の意見の違いを初めてぶつける場ではありません。違いがあるなら、面談の前に「どこが違うのか」だけでも整理しておいてください。
「うちは意見が割れています。ここまでは一致していて、ここからが平行線です」——面談でこう共有してもらえれば、担任は第三者として、データと現場経験をもとに整理をお手伝いできます。意見の違いそのものは、まったく悪いことではないのです。

正直、娘と意見が合っていない自覚があります…。面談までに結論を出さないとダメでしょうか。

結論はいりませんよ。「どこが違うか」が見えていれば十分です。むしろその整理こそ、面談で一緒にやりましょう。そのために担任がいます。
希望が固まったら|「要項の読み解き」を一緒にやる
もうひとつ、保護者の方だからこそできる強力なサポートがあります。受験校の情報の読み解きを、一緒にやってあげることです。
最近の入試は、方式・日程・出願条件がとても複雑になっています。本人の希望が固まったら、募集要項の「出願期間・試験日・合格発表日・手続締切日」といった事務的な部分を、大人の目でダブルチェックしてあげてください。読み間違いや出し忘れを防げるだけでなく、「一緒に見てくれている」という安心感が、生徒の支えになります。
保護者の準備②|お金の境界線を決めておく
保護者の準備の2つ目は、お金です。日頃ご家庭で話しにくい話題だからこそ、面談前に整理しておく価値があります。
受験から入学まで、どんなお金がかかるか
まず、項目だけでも押さえておきましょう。
- 受験料:1校あたり3〜4万円程度×受験校数
- 入学金・初年度納入金:入学する大学に納めるお金
- 交通費・宿泊費:遠方の受験や、オープンキャンパス参加の費用
- 入学金の「二重払い」:併願校の入学手続き締切が第一志望の合格発表より早い場合、入学しない大学に入学金を納めるケースがあります。ここは見落としやすいポイントです
規模感の目安として、日本政策金融公庫の調査(2021年度)では、私立理系の入学費用は約88.8万円、在学費用は年間約183.2万円。国公立の在学費用は年間約103.5万円で、私立理系との差は年80万円ほどです。もちろん、学部・地域・自宅通学か一人暮らしかで金額は大きく変わります。ここでは、家庭で話し合うための大まかな目安として見てください。くわしい学費の比較は、別の記事で改めて扱う予定です。
境界線は金額でなく「ルール」で決めるとうまくいく
家計の数字そのものを面談で話す必要はありません。担任が知りたいのは、出願プランを組むための「家庭のルール」です。たとえば、こんな形です。
- 私立理系は、自宅から通えるなら可
- 一人暮らしをするなら、国公立のみ
- 地方の国公立は可
- 私立の滑り止め受験は可(/不可)
- 年内入試の専願で出すのは、学費を確認してから
- 入学金の二重払いは、1校分までなら想定しておく
- 浪人は不可(現役で決める)
こうしたルールが決まっていないと、面談で担任が併願プランを提案しようにも、前提が分からず踏み込めません。逆に「国公立でないと厳しいが、滑り止めの私立1校は受けてよい」とはっきりしていれば、それを軸に最適な作戦を一緒に組めます。

家計の事情を細かく話すのは抵抗があったが、「ルールで伝える」なら整理できそうだな。息子と話す口実にもなる。

それで十分です。そして高3は、自分の進路にかかるお金を考える力が育ってくる時期でもあります。ぜひお子さんと一緒に決めてください。「ここまでは出せる。ここからは無理」という境界線がお互いに見えると、親子とも迷いなく努力できるようになりますよ。
奨学金は「借りられるか」より「返せるか」
奨学金を使う可能性があるご家庭は、そのことも面談前に親子で共有しておいてください。
いま、大学昼間部の学生の約2人に1人が何らかの奨学金を利用しています(日本学生支援機構の調査)。ごく普通の選択肢です。なお、奨学金には返済不要の給付型と、卒業後に返済する貸与型があります。ここで特に考えておきたいのは、貸与型を使う場合です。
貸与型の奨学金は、卒業後に本人が返していくお金です。借入総額は数百万円規模になることも珍しくありません。だから考える順番は、「借りられるか」ではなく「卒業後に返せるか」。月々いくらの返済が何年続くのかまで、出願の前に一度、親子で数字を見ておくことをおすすめします。
※出典:日本政策金融公庫「教育費負担の実態調査」(令和3年度)、日本学生支援機構「令和4年度 学生生活調査」(取得日2026-07-04)。金額は目安です。最新の学費は各大学公式サイトでご確認ください。
保護者の準備③|面談でやらないほうがいいこと
少し言いにくいことも、担任としての本音でお伝えします。面談で「これをやると損をする」という保護者の行動があります。
担任が見てきた「もったいない」5つの行動
- お子さんに否定的な言葉をかける:「この子は全然勉強しなくて」「どうせ無理だと思うんですけど」——謙遜のつもりでも、本人の心は閉じます
- 担任の前で叱る・追い詰める:面談は説教の場ではありません。叱られると分かっている場に、本音を持ってくる生徒はいません
- 本人を差し置いて話しすぎる:主役は本人です。保護者の方が話す時間が長くなりすぎると、本人の考えが聞けないまま終わります
- きょうだいや他の子と比較する:「お兄ちゃんはできたのに」は、面談の場では何も生みません
- 家庭で共有していないお金の条件を、その場で初めて出す:本人が「えっ、そうなの…?」と固まってしまい、作戦会議になりません(9章の準備はこのためでもあります)
なぜNGなのか|本人が黙ると、全員が損をする
これらに共通する問題は、たったひとつです。本人が黙ってしまうこと。
本人が黙ると、担任は本音が聞けません。本音が聞けないと、提案は的外れになります。的外れな提案は、ご家庭の役に立ちません。つまり、本人・保護者・担任の全員が損をするのです。
保護者の方を責めたいのではありません。わが子の受験を前に、不安や焦りが言葉に出てしまうのは自然なことです。ただ、面談の30分だけは、「うちの子はここまで考えているんです」と本人を立てる側に回っていただけると、面談は見違えるほど実りある時間になります。
面談当日に担任へ聞くとよい質問リスト
準備が整ったら、最後は「引き出す」番です。担任に聞くとよい質問を、担任の立場から挙げます。どれも、聞かれて嫌な質問ではありません。むしろ聞いてほしい質問です。
- 「評定平均を自分で計算してきたのですが、間違いはないでしょうか?」:評定は面談時点でほぼ確定しています。自分で計算した値(高1からの全科目の評定の平均)を持参して、担任に答え合わせをしてもらうのが確実です。年内入試を少しでも考えているなら必ず
- 「この評定で、どの推薦が視野に入りますか?」:評定の確認とセットで聞くと、話が一気に具体的になります
- 「指定校推薦の枠と、校内選考の時期を教えてください」:指定校の話は、聞いて大丈夫です。むしろ夏に聞くのがちょうどいいタイミングです(開示時期や運用は学校によって異なるので、担任・進路指導の先生に確認を)
- 「この志望校リストに、穴はありませんか?」:挑戦校に寄りすぎ・安全校が足りない、などのバランスは担任がよく見えています
- 「先輩たちは、この成績からどこに進学しましたか?」:学校ごとの進学実績データは、担任だけが持っている一次情報です
- 「秋以降の学校のスケジュールを教えてください」:推薦の校内締切、模試、出願書類の発行時期など、逆算の起点になります
全部聞く必要はありません。2〜3個で十分です。「質問を用意してきた」こと自体が、担任のギアを一段上げます。
面談後にやること|夏から出願までのスケジュール
面談は、受験のスタートラインです。決まったことを、夏からの行動につなげましょう。
夏→秋→出願の流れ

- 夏休み:オープンキャンパスと基礎固め。特に第1志望校のオープンキャンパスには、夏のうちにぜひ行ってください。入試の最新情報が手に入るのはもちろん、「ここに通いたい」という気持ちが固まることが、夏の勉強の一番のエンジンになります。面談で方向が決まったら、すぐ予約を(人気日程は埋まります)。回り方はオープンキャンパス完全ガイドにまとめています。勉強は7章の通り、苦手分野固めが最優先です
- 9〜10月:各大学の入試要項が確定します。志望校整理シートの数字を最新版に更新し、年内入試組は出願へ
- 11〜12月:冬の三者面談。ここでは受験日程・併願プランを具体的に詰めます
- 年明け:一般入試の出願・受験本番
高3の1年間の全体像は、理系大学受験ロードマップで月ごとに整理しています。
面談で決めたことは変えていい?|変えるもの・変えないもの
「夏の面談で決めたら、もう変えられないの?」——よく聞かれる質問です。答えは、「変えていいもの」と「変えないほうがいいもの」があります。
| 項目 | 夏以降の変更 |
|---|---|
| 受験科目 | 変えない・増やさない(夏の面談で固めるのはこのため。遅くなるほど危険) |
| 国公立中心か私立中心か | 基本的には夏に方向を決めておきたい(科目数が変わるため。事情による例外はあります) |
| 第1志望 | 夏の面談では、よほど無謀でない限り引き下げません。挑戦は秋まで続けてOK |
| 第2志望以降の入れ替え | 冬の面談で十分調整可能。科目・配点で不利にならない形式なら、柔軟に入れ替えられます |
夏の面談は「仮決定」で構いません。秋の模試結果を見て、12月の冬面談で受験戦略を現実に合わせて調整する——場合によっては挑戦のレベルを一段下げる判断をするのは、そのタイミングです。逆に言えば、夏に科目と方向さえ固めておけば、志望校リストは最後まで作戦として動かせるのです。
よくあるご質問(FAQ)
Q1. 三者面談はいつごろ、何分くらいありますか?
多くの高校で7月(夏休み直前)に行われ、1家庭あたり15〜30分程度が一般的です。冬(11〜12月)にもう一度行う学校が多いです。
Q2. 志望校が決まっていないと怒られますか?
怒られません。ただし「系統」と「使いたい科目」までは整理していきましょう。答え方の型は3章をどうぞ。
Q3. 担任に「厳しい」と言われたら、志望校を下げるべきですか?
夏の時点では、すぐに第1志望を下げる必要はないケースが多いです。夏の面談では、よほど無謀でない限り志望校の引き下げは行わないのが基本です(科目や学習状況によって、安全校を足すなどの併願調整はあります)。逆に言うと、夏の面談で担任のほうから引き下げや併願校の再設計を勧められる場合は、志望校との距離を慎重に見たほうがよいサインです。絶対の基準ではありませんが、模試の合計点が3教科でD判定ラインまで50点以上足りない、偏差値で10以上の差がある——このあたりを「難しい」と判断する担任は多いと思います。その場合も、そこで終わりではありません。「距離をどう詰めるか、作戦をどう組み直すか」を担任と一緒に考えましょう。最終判断は秋の模試を見てから(12章参照)。
Q4. 親はどこまで話すべきですか?
主役は本人です。保護者の方は「家庭の条件(通学範囲・お金のルール)」を伝える役に徹すると、面談が締まります。加えて、応援している姿勢や、家庭での学習の様子を話していただけると、担任としてはとてもありがたいです。学校では見えない一面が、作戦の精度を上げてくれます。
Q5. 親と本人の意見が違うときは、面談でどう話せばいいですか?
「ここまでは一致、ここからが平行線」と正直に共有してください。担任が第三者として整理をお手伝いします。事前の整理のしかたは8章へ。
Q6. 指定校推薦の話は、三者面談で聞いてもいいですか?
もちろんです。枠の一覧と校内選考の時期は、夏の面談で聞くのがベストタイミングです。なお、開示時期や運用方法は学校によって異なるので、詳しくは担任・進路指導の先生に確認してください。
Q7. 面談後に志望校を変えても大丈夫ですか?
大丈夫です。ただし受験科目の変更・追加だけは遅くなるほどリスクが上がります。詳しくは12章の表をご覧ください。
Q8. 高1・高2ですが、今から何を準備すればいいですか?
高1は文理選択と科目選択、高2は英検・評定・オープンキャンパスが準備の中心です。「使える科目を減らさない」ことを意識すると、高3で選択肢が広がります。
Q9. 服装や持ち物はどうすればいいですか?
服装は本人は制服、保護者は普段のきれいめな服装で十分です。持ち物は4章の3点セット(模試の成績表・志望校整理メモ・勉強計画)をどうぞ。
まとめ|準備した分だけ、面談から持ち帰れる
最後に、この記事の要点をまとめます。
- 三者面談は査定ではなく作戦会議。担任のゴールは、受験科目を元に夏の勉強計画を立てること
- 本人の準備は3つ:志望校の方式・科目・配点(第1〜第3志望)/年内入試は仕上げられる校数(原則2校・最大3校)/夏の勉強計画と模試の結果
- 志望校が決まっていなくても大丈夫。系統+使う科目(数Ⅲの有無・理科の科目数)で答えれば面談は成立する
- 保護者の準備は3つ:本人の言葉で希望を聞く/お金の境界線をルールで決める/NG行動を避けて本人を立てる
- 模試はE判定でも、そこで終わりではない。見るべきはD判定までの距離と、科目ごとの苦手分野
- 夏に固めるのは科目と方向。志望校リストは冬まで作戦として動かせる
担任は、準備してきた生徒と保護者の味方です。この記事のチェックリストを持って、あなたの面談を最高の作戦会議にしてください。応援しています。
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